沖縄最北端の巨大ヤンバルクイナは、展望台だった!

沖縄の手つかず自然を求めて、沖縄本島を北へ北へと走る。目的地は最北端辺戸岬(へどみさき)。反吐岬、いやいやそんな訳ないだろう。最北端だから「ヘッド岬」と言うべきか。ヘッド岬と言えば、シドニーのノースヘッド岬を思い浮かべ、絶景が期待できるのだろう、一人密やかに期待する。
【やんばるに生息する巨大鳥】
辺戸岬から東シナ海、太平洋の眺望、白波と青空、見事なコントラスやなと仁王立ちで眺めていると、沖縄本島側に不思議なものを発見。
「あれは何!!」。はるか向こうの深い緑の中から唐突に大きな鳥が目に飛び込んできた。まるで、アラビアンナイトで船乗りシンドバットがその足を掴んで飛んだという鳥を思わせる巨大鳥。
【海を眺める巨大鳥ヤンバルクイナ】
標識板には、「蔡温松並木」「ヤンバルクイナ展望台」とある。そうかあれは「ヤンバルクイナ」か。
海岸を横目に徐々に森林に近づいていくと、やんばるくいなの姿が見え隠れしながら、確実に近づいてくる。
飛びたつ気配はなく、森にたたずんでは海の彼方をじっと見つめている。
【こじんまりした駐車場に停めて歩く】
5台ほどの駐車場の脇から山上への石段を一歩づつゆっくりと上る。石段がら見上げると、突然巨大な鳥の尾羽が目に飛び込んできた。
思わず駆け上がると、巨大鳥の尾羽と紅く長い足。これに踏みつけられたらひとたまりもないだろうと思わされる。
【巨大なヤンバルクイナの頭】
恐る恐る巨大鳥ヤンバルクイナの前方に回ってみた。ヤンバルクイナの見つめる方向には辺戸岬を望む展望台。
これぞ絶景!
しばらく、ヤンバルクイナと並んで岬から水平線を見つめる。すべてが止まったようなひととき、波の音、そしてときおり鳴く鳥のさえずり。
【展望台全貌が明らかに】
ふと我に返り、そっと振り返ってみると、ヤンバルクイナが背筋を伸ばして立っている。見るとその首のあたりに穴がある。
階段でやんばるくいなの体内に潜入すると体内展望台となっていて、空き窓がある。
格子のついた空き窓からは、ヤンバルクイナの喉の部分、喉から眺めると鳥の体内に飲み込まれ捕らわれた気分になった。
やんばるくいな体内からの景色も乙なもので、のぞくと先ほどの木で組まれた展望台が眼下に見下ろせる。別の横窓からは三日月型の砂浜を包み込む辺戸岬が見える。
【それは飛ばない鳥の展望台】
飛べない鳥に飲み込まれ体内から逃げ出せなくなったような錯覚、眼下に広がる広い海を眺めるってのはなかなかできない体験に違いない。やんばるくいな展望台は超レアな場所としてお勧めだ。
【やんばるくいな展望台】
住所:沖縄県国頭郡国頭村辺戸
TEL: 098-850-1257
文:しのはらさとみ
写真:沖縄REPEAT