世界遺産「識名園」は、外国と盛んに交易を行っていた琉球王国中国から冊封使を招き歓待する「迎賓館」であり、琉球国王一家の保養に使われる「御用邸」の役割を果たしていました。1799年に完成し、沖縄戦で壊滅状態になりましたが、1975年から20年間かけて復元され、四季折々の庭園の美しさが楽しめ、「御殿」では琉装による結婚式をすることができます。
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首里城から南に2kmの場所にあることから「南苑」とも呼ばれ、2000年に世界遺産に登録された「識名園」の最大の見所は、和、琉、中の様式を兼ね備えた所にあるでしょう。実際に回遊しながらその様式を確認して行きましょう。
正面に見えているのが正門。順路としては振り返ってみたところです。ちょうどこの時、沖縄特有のスコール的な雨に降られ、石畳が濡れて、滑りやすくなっていました。庭園内は早く歩けば30分くらいで回れますが、歩きやすい靴でゆっくり庭園を楽しんでください。
多くの日本の大名が取り入れていた庭園で、池を中心に周回路をもうけ、橋、小島、石、東屋などを配し、景勝地を再現する造りです。兼六園(石川県)、桂離宮(京都府)、小石川後楽園(東京都)など各所で見られる日本庭園です。池は「心字池」と呼ばれ、「心」の文字を崩した池の形になっています。
赤瓦屋根は琉球様式。上流階級にのみ許された建築様式です。15の部屋を持ち、琉球王がくつろいだり、冊封使(中国皇帝の代理人)達を接待したりされた場所です。
2番座から見た識名園の庭園。六角堂、石橋、池などしばらく見ていても飽きないようなゆったりした時間を感じます。
手前から三番座、二番座、一番座となり、一番座は琉球国王や冊封使しか使えない特別な部屋です。この廊下を隔てた右側に庭園が広がります。
15の部屋があり、琉球建築様式を取っています。右下の部屋が一番座で、角部屋の一番良いところを国王や冊封使が使います。
台所です。冊封使を歓待する琉球宮廷料理がここで作られていました。
トイレ。もちろん、使うことはできないですが、昔ながらのぼっとん式のようですが、中が斜めになっているので流れていく構造になっています。
池の小島に作られた休憩場所、東屋です。黒い屋根は中国様式を取り入れています。六角堂はもともと四角で、いつから六角になったのか定かではありませんが、大正5年4月29日付けの琉球新報記事から、その時点までは「四角」であったことが確認できています。
整形されていない石をアーチ状に組んだ石橋が小石橋。左側の整形されている石を組んだ石橋が大石橋と二連になって配置されています。琉球王や冊封使達は、この池で船遊びを楽しんでいました。
なだらかな傾斜から池に入る場所が船着き場です。
池の水源ともなっている、この育徳泉に生える非常に珍しい「シマチスジノリ」という紅藻類は、国の天然記念物に指定されています。琉球石灰岩を使い、相方積みにより、きれいに積み上げられ、上部には冊封使の記念碑が作られています。
沖縄南部地帯を見渡すことができる展望台がこの歓耕台。ここから海を望むことはできません。実は、中国からの使者冊封使に対し、琉球は決して小国ではなく、広大な土地を持つ国であることを訴えたかったようです。
沖縄ではリゾートウエディングをよく聞きますが、沖縄大好きな方には、琉装で行う琉球伝統の結婚式って体験したいと思いませんか。琉球音楽で祝福、見事な庭園で記念撮影なんて素晴らしいですね。
もし、沖縄REPEATの読者の方で、識名園での琉装結婚式を体験されて、写真を提供しても構わない方は、ぜひ、この場所に登場して披露しませんか。プロフィールを添えていただければ、紹介させていただきます。
住所:沖縄県那覇市字真地421-7
開園時間:4月~9月 9時~18時、10月~3月 9時~17時半 水曜日定休(休日に当たるときは翌日)
入園料:大人400円、小人200円
駐車場は、入り口すぐ横にあります(無料)。飲食店、自動販売機などはありません。
写真撮影:2019年1月17日