戦後のヤミ市から始まった牧志公設市場近くの市場本通り界隈はアーケードが設けられ、雨の日でも買い物がしやすく、地元民のみならず観光客も多く訪れます。その中でもひときわ大きな看板が目を引く沖縄の伝統菓子「松原屋製菓」は創業60年を超え、通りの歴史を見守ってきた菓子店なのです。
まず松原製菓に行くと目につくのは、サーターアンダギー。プレーンはもちろんパイナップル味やバナナ味、キャラメルや黒糖など色んな種類のアンダギーが売られています。1個60円で1個から購入できるので、食べながらまちぐぁー(市場)散策できますね。
そして驚くのは写真左下の巨大なサーターアンダギー。お店の方の顔と同じくらいの大きさです。サーターアンダギーは、黄金(クガニ)魂(ムドシ)とも呼ばれ、女性お腹の部分をを意味しています。昔から、女性が丈夫で立派な子どもを産むと、よくできた子どもたちを産みわける立派なお腹だといって、世間一般では「黄金腹(クガニワタ)」と褒めていたそうです。
それ以外でも、「サーターアンダギー」の割れて花開いた面持ちは、口を開けて笑っているように見えることから、お祝いや年中行事に必ず顔を出します。
沖縄には伝統的お菓子がたくさんありますが、ポーポーはもっとも万人受けするのではないでしょうか。作り方も簡単で、小麦粉を水で溶いて薄く焼き、「アンダンスー」と呼ばれる味噌餡を巻き包むだけ。いわば沖縄版クレープで、シンプルな生地に味噌のコクがマッチ。お菓子だけれど甘くないので、小腹がすいたときのおやつにも最適。ポーポーと似ている「ちんぴん」は、生地に黒糖を混ぜて焼き、そのまま巻いて食べるもの。
ナントゥーもちは、沖縄では正月に食べるもの。ナントゥーは「年頭」と書いてナントゥーと呼びます。わかりやすく言えば味噌味のお餅です。
今は生クリームのケーキが主流ですが、松原屋製菓には昔懐かしいバタークリームのケーキも売っています。ケーキの上にのっているゼリーのようなチェリーも懐かしい感じ。
やぶれ饅頭やどら焼き、栗饅頭などの和菓子もたくさん。
レモンケーキやマドレーヌに交じり、こんぺんがあります。
「くんぺん(こんぺんとも呼ぶ)」は、遥か昔の琉球王国時代から伝わる、由緒正しい沖縄の伝統菓子で、かつては高級菓子として王朝に献上されていたそうです。今でも、春の清明祭(シーミー)などでは定番のお供え物で、祭事の時期になるとあちこちにクンペンが並びます。ホックリとした生地の中に、ゴマやピーナッツを使った香ばしい餡が入っています。
そしてコー菓子。コー菓子とは「粉菓子」、つまり落雁(らくがん)の一種です。もち米などを蒸して乾燥させた粉(寒梅粉や落雁粉)と、砂糖や水あめをこねて型抜きして作るお菓子です。
他にも沖縄の結納に欠かせない「松風(マチカジ)」と呼ばれる煎餅なども売っているので、市場本通りを散策の際には、沖縄でしか食べられない伝統的なお菓子を食べてみてはいかかでしょうか?
★サーターアンダギーは沖縄の結納には欠かせない「伝統菓子」の記事はコチラ
住所:那覇市松尾2-9-9 ☎098-863-2744 営業時間:9:00~21:00 無休