沖縄県民にも、沖縄が大好きな観光客にも愛されているさんぴん茶。沖縄では自動販売機でも食堂でも、あちこちでさんぴん茶を目にします。沖縄料理やサーターアンダギーにも合うんですよね~!しかしさんぴん茶とは一体なんなのか?そしてなぜ沖縄でさんぴん茶がこんなに飲まれるようになったのか?私も何気に飲んでいるさんぴん茶について調べてみました!
さんぴん茶とは沖縄方言の呼び名で、実は緑茶にジャスミンの花の香りをつけた中国茶の「ジャスミン茶」と同じものなんです。さんぴんという呼び名は中国語の俗称で、「香片(シャンピエン)」から来たとされており、ジャスミンはモクセイ科オウバイ属の植物の総称で、亜熱帯に分布し、20種以上もあるといいます。さんぴん茶に使われているのは中国で「茉莉花(モーリホア)」と呼ばれる種類。
同じ緑茶といっても、日本の緑茶が蒸して青々とした香りや味を楽しむものであるのに対し、中国の緑茶は釜煎りにして酵素を不活性化させ、落ち着きのあるまろやかさを引き出したもの。こうすることでジャスミンの花の香りが付きやすく、茶葉とも調和しやすくなるのだとか。確かに青々しさが特徴の日本の緑茶では、茶葉の香りとジャスミンの花の香りが互いに主張しあってケンカしてしまいそうですよね。
ではなぜ沖縄でさんぴん茶が飲まれるようになったのか?色々調べてみましたが、中国で生まれたジャスミン茶がいつ沖縄に伝わり、さんぴん茶と呼ばれるようになったのかは、残念ながらはっきりわかりませんでした。
ただお茶そのものが沖縄に伝わったのは1627年のことで、時の国相・金武王子朝貞が島津家の祝賀使として鹿児島へ上国した際、茶の種を持ち帰り、自分の領土で栽培したのが始まりとされています。
さんぴん茶が庶民に広く飲まれるようになったのは、1901年に尚家財閥の貿易商社が福州に製造工場を構え、県内に普及させた頃からではないかと考えられています。それ以前にも、琉球王国では14世紀から16世紀頃まで、中国をはじめとする東アジアの国々と盛んに交易を行い、優れた中国商品を大量に輸入し、それらを近隣諸国へ輸出していた歴史を持っています。
また、当時の琉球には中国からの使節団である冊封使一行がたびたび訪れ、一行を迎える出先機関「天使館」があり、中国の福州にも琉球からの使節団が滞在する「琉球館」が設けられていました。このような琉球と中国の密接な関係から推測すれば、さんぴん茶はもっと早く琉球に伝わっていたのかもしれません。
ナント白い小さな花から優雅な香りが広がるジャスミンを使った、華やかな「茉莉花(まつりか)」という焼酎があるのをご存知ですか?
「茉莉花」は、本格的なジャスミンの風味を実現するため、独自に開発したジャスミン茶葉を使用した本格乙類焼酎と、厳選した甲類焼酎をブレンドしています。そのためすっきりとした味わいが特徴です。そしてまた香りがイイ!!
「茉莉花」の華やかなジャスミンの風味や香りは、氷を入れたロックスタイルで飲めば十分に楽しむことができますが、ココはやはり「さんぴん茶割り」で飲んで頂きたい。さんぴん茶で割ると香りが一層華やいで、とても美味しくいただけます。
そして沖縄ではお馴染みの「ぶくぶく茶」。「ぶくぶく茶」を作るときにもさんぴん茶が使われます。
ぶくぶく茶は、主に煎った米(玄米または白米)を煮出した米湯と、さんぴん茶と番茶を合わせた茶湯から作られます。このとき、水は硬水を使用します。硬水の方が泡立ちやすいからです。市販の硬水のミネラルウォーターでも、おいしく作ることができます。
ぶくぶく茶は沖縄伝統の泡立てるお茶 首里「嘉例山房」の記事はコチラです。
写真が「ナイトジャスミン」。この花は夜に咲く花で、和名は「夜香木(ヤコウボク)」といい、その名の通り夜になると芳香の強い花を咲かせます。咲いた花は明け方には閉じて、夜になって再び開く。それを2~3回繰り返すと開いたままになり、翌日には落ちてしまいます。
「ナイトジャスミン」の香りの良さは天下一品。うっとりするくらいいい香りです。香りがしてないと見逃してしまうような花ですが、一度は匂ってみてほしいなぁ。
さんぴん茶つながりでジャスミンのお酒やぶくぶく茶、ジャスミンの香りのする植物を紹介しました。沖縄に来たらぜひさんぴん茶を飲んでくださいね!