沖縄を旅行し歩いていると、よく見かけるこの「石敢當」という文字。結構いたるところで目にした方も多いと思います。石敢當は「いしがんとう」と呼び、沖縄では魔除とされ沖縄の文化に深く根付いたものなんです。でも魔除けという事はなんとなく知ってるけど、どうして魔除けになったのでしょうか?
沖縄でよく見かける「石敢當(いしがんとう)」。Wikipediaによると、元々「石敢當」は中国伝来の風習で、福建省が発祥とされています。日本では、沖縄本島を中心に、周辺諸島に数多く点在しており、また薩南諸島・奄美群島を含め、鹿児島県にもかなり存在します。沖縄県、鹿児島県以外の日本全国にも分布しているようですが、その数はかなり少ないとの事。
沖縄県では「いしがんどう」、「いしがんとう」と呼ばれ、鹿児島県では「せっかんとう」と呼ばれることが多いそうです。
市中を徘徊する魔物(沖縄ではマジムンと呼ぶ)は、直進しかできないと言われており、道の曲がり角やT字路、Y字路の角も、彼らは曲がることができません。そのため、このような曲がり角には、魔物が溜まりやすい場所として恐れられていました。しかもT字路や三叉路などの突き当たりにぶつかると、マジムンが向かいの家に入ってきてしまうと信じられているので、丁字路や三叉路などの突き当たりに「石敢當」を設け、魔物の侵入を防ぐ魔よけとしているんです。ちなみにマジムンは石敢當に当たると砕け散るそうです。
奄美群島の一部では、ハブ(毒蛇)のことをマジムンと呼ぶ地域があり、マジムンの中では唯一実在する生物として扱われています。ハブも石敢當にぶつかると消えてなくなればいいんだけど(笑)
有名どころでいうと、撮影スポットでもお馴染みの「首里金城の石畳」。
この「石敢當」は見た事があるという方も多いでしょう。
ブロック塀に埋め込まれた「石敢當」。このタイプは街なかでもよく見かけるタイプ。
国際通りのお土産屋さんでも、飾り物の石敢當がたくさん売られています。部屋の中に飾ってもあまり意味はないかもしれませんが・・・。
ではなぜ「石敢當」という名前になったのか?それは中国との貿易が盛んだった琉球王朝時代、中国には「石敢當」という名前の武士がいたそうです。石敢當は、大変強い武士だったらしく、人間や獣だけでなく、目に見えないマジムンに至るまで、決して負けることのない最強の武士でした。
しかもこの「石敢當」という武士の名は、中国の書物である「徐氏筆精(じょしひっせい)」に、中国の五大十国の時代に実在した人物だったことが記されています。
そこから最強の武士の名前を書いた札を立て、魔物をやっつけるために「石敢當」を魔除けとして使うようになり、いつしかこの風習は庶民の間でも定着し、沖縄の魔物除けとなったそうです。
おや?これはあまり見かけない石敢當ですね?そうなんです。「泰山石敢當(たいざんいしがんとう)」です。
「泰山」というのは、中国で代表的な霊山の一つで、日本で言えば「富士山」のような存在です。そのため中国では、「泰山」を「石敢當」の上に加えることによって、より霊力の強い魔除けとして使われています。中国や台湾はもちろん、読谷や石垣島、久米島などにはあるそうですよ。那覇でもあるのかなぁ。ぜひ探してみてくださいね!
しかし沖縄には、この「石敢當」をはじめ「シーサー」や「サングヮー」、火事除けとして使われる上記写真の「スイジガイ」などなど、魔除けが多いですね。沖縄ほど魔よけの文化を発達させた地域は、日本全国を探してもないと言われています。
沖縄を散策する際には、この「石敢當」や「泰山石敢當」を探しながら歩くのも楽しいかもしれませんね。