沖縄本島北部のことを「やんばる」と呼ばれ、どこから「やんばる」なのか明確ではないけれど、自然あふれる国頭村、大宜見村、東村を合わせた地域が「やんばる」と言われる。そのやんばる地域にだけ棲息する、固有種でもある飛べない鳥「ヤンバルクイナ」を見ようと安田(あだ)くいなファミリー公園にやってきた。
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ありきたりの観光コースでは飽き足らない沖縄通の友人に誘われて参加したのがユニークな場所専門のズミニックツアー。ズミニックツアーの8回目の企画、テレビタレントの川満しぇんしぇいが企画、同行するツアーに参加する形で、ヤンバルクイナに会いに行った。
「やんばるくいな」の減少はやんばるの自然の危機を象徴していると言われている。やんばるでしか生息していないのだから、やんばるの森が消えると地球上から消滅する鳥と言える。
やんばるくいなの減少は自然環境の変化によるものに加え、悲しいことだけれど人災である交通事故死も多く過去半年で17件、昨年一年では34件も発生しているとのこと。(2017年7月16日現在)
それでは、もし、事故に遭った「やんばるくいな」を見つけたらどうすればいいのだろう。一般的に事故にあった動物を道路上で見つけた場合、ドライバーはその所有者や保健所、道路管理者などの関係機関へ速やかに通報をする必要がある。そのままにしておくと、事故の原因にもなりかねない。道路管理者への連絡先は道路標識などにも表示されていることも多いが、分からない場合は、警察や自治体へ連絡しても構わない。同様に事故に遭った「やんばるくいな」に遭遇したらすぐ連絡すること。それによって助かる命もあるとのことだ。
道路上で発生する野生動物の死亡事故は「ロードキル」と呼ばれ、道路に動物が侵入することによって発生する。沖縄県のヤンバルクイナやケナガネズミなど、特定の動物についてはロードキルについても環境省が調査を行っている。希少価値の鳥であればぜひこの目で見てみたい。
やんばるくいなロードキルの記事はこちらです。
訪れたところはヤンバルクイナ生態展示学習施設クイナの森。
ヤンバルクイナは5月ごろに白地に茶の斑点模様の入った卵を平均4-5個産むらしい。クイナの森では野生のたまご5個を救護し人工ふ化に成功している。そして、その中の希少な1羽を選んで公開している。非公開の保護施設で暮らす他の4羽と比べて、人前に出るのが大好きなやんばるくいなということでトップバッターに抜擢されたようだ。大勢の見学者がガラス越しに見入ると、反応するかのようにポーズをとるヤンバルクイナ。
美しい!輝く紫と藍を織り交ぜた腹にチャコールグレーのマントを羽織ったいで立ち、くちばしと足をオレンジに染め、紅に黒玉を置いた目は遠くを見つめる。とっとっとと歩いては止まりポーズ!まるでスーパーモデル気取りのキョンキョン。
因みにキョンキョンの名前は一般公募で、「キョ、キョ、キョ」との鳴き声から命名されたとのこと。茂みで隠れるように暮らやすんばるくいなにとって鳴き声は情報伝達の手段。何を私たちに伝えようとしてるのか、興味深く鳴き声を聴く。「私きれいでしょ…」って言ってるのかも。
「毛繕いシーン」は求愛の仕草とも言われ、繁殖期を迎えている模様。
キョンキョンも繁殖期を迎え、つがいになるとクイナの森での任務は終了。人気者も代替わりの時期を迎え、別のやんばるくいなに席を譲ることになるらしい。AKB総選挙のセンター争奪戦みたいな争いはないけれど、次のアイドルの登場も見てみたいな。 ※2代目クー太クンに代替わりしました
やんばるくいなが何を食べているのかって興味津々だったけど、ちゃんとそれがわかる展示もあった。「やんばるくいなの食性」は琉球大学の学生さんんが調査してくれたそうだ。これも必見。
お勧め続きに、伊部岳(353m)の源流から流れ出る天然水。まったく癖がない水。スポンジが吸収するように私の体にすっと入ってきた。(無料。但し、5リットル300円、2リットル150円の容器代が必要)、超軟水で泡盛の水割りには最適とのことで、泡盛本来の持ち味に溶け込みうまい。
その名も「ヤンバルクイナの涙」、試飲コーナーも見つけたので、お試しをお忘れなく。
住所:沖縄県国頭郡安田(あだ)1477-35
電話:0980-41-7788
営業時間:9:00~17:00 定休日:毎週水曜日 1月1日〜3日
クイナの森(安田くいなふれあい公園)のホームページはこちらです。
文:しのはらさとみ
写真:沖縄REPEAT