沖縄に住む人たちは、とても風に関心を払っているように思います。 四方を海に囲まれて、年中海風にさらされているので、風の吹く方向などには常に注意を払っています。 移住して9年。雨が降る前の風がわかるようになってきました!そして沖縄では、風と風が吹いてくる方角にも沖縄独特の呼び方があるんです。
「東西南北」は「ヒガシ・ニシ・ミナミ・キタ」と呼びますが、沖縄本島では東をアガリ、西をイリ、南はフェー、北はニシと呼びます。八重山諸島では東をアール、西をイール、南をハイ、北をニシと呼びます。 与那国では東をアガリ、西をイリ、南をハイ、北をニチと呼びます。 西表島(イリオモテジマ)の名前の由来もこの由来もココからきています。
この海の写真は波照間島の「ニシ浜」というビーチ。この場所は、波照間島の北側に位置するのに「ニシ浜」。「北」を「ニシ」と呼ぶなんて、頭が混乱しそうですよね(笑)
沖縄での「風」の呼び方も様々です。沖縄本島では東風をクシカジ、西風をイリカジ、南風をフェーカジ、北風をニシカジと呼び、 宮古では東風をアガズー、西風をイズー、南風をパイー、北風をニスカジと呼びます。
八重山・石垣では東風をアールアズ、西風をイールカズ、南風をハイカズ、北風をニスカズと呼び、 波照間では東風をアリカチ、西風をイリカチ、南風をペーカチ、北風をニシカチと呼びます。
台風の後に吹く吹き返しを「けーし風(ケーシカジ)」、つむじ風の事を「カジマチ」と呼んだり、風が強いことを「カジバーバー」と言ったり、うちなーぐちって難しい(笑)
沖縄の季節風にも呼び名があります。例えば3月に吹く風を「二月風廻り(ニンガチカジマーイ)」と呼びます。「ニンガチカジマーイ」とは、風向きが急変する強い風です。低気圧が西にある時は強い南風が吹き、東に進んだ時は強い北寄りの風が吹きます。 風の廻り(変化)が早いことから、これまでにも、ダイバーやレジャーボート、漁船等の海難事故が過去に多く発生しています。
6月に吹く風は夏至南風(カーチーベー)。6月の梅雨明け時に吹く南からの季節風です。太平洋高気圧に覆われ、1週間以上晴天が続きます。帆船で交易を行っていた時代には、中国→琉球、 琉球→九州へ向かう時にこの風を利用したと言われています。
そして現在真っただ中、10月に吹く風を「新北風(ミーニシ)」と呼び、大陸の高気圧が張り出してくることにより吹く北よりの風です。夏から冬の交代時期に吹く季節風。ココ最近の沖縄では、この「ミーニシ」が吹き荒れ、気温も急激に下がり、秋の訪れを知らせています。
旧正月の前に吹く南風を八重山では「歳暮南風(シーブバイ)」と呼びます。「シーブ」はお歳暮、「バイ」はハエ(南風)。昔、竹富や黒島などの離島の人々は正月が近づくと、石垣島に住む蔵元のお役人の方々へ贈るお歳暮の品々を、シーブバイに帆をはらませた船で運んでいたそうです。
瀬長島の「ウミカジテラス」も、「海風(ウミカジ)」から名付けられています。
ところで沖縄ではなぜ「北」を「ニシ」と呼ぶのか。諸説ありますが、古代日本では、民族が大陸・朝鮮半島を経て、日本へと移り住んできたとされています。つまり「いにしえ」の先祖は、琉球の位置からすれば北側から渡来してきたため、北方を「いにしえ」と呼びました。やがて「(い)にし(え)」と言葉が変化して、「北=にし」となったというものです。
沖縄本島の中ほどにある「西原町」は、読みこそ「にしはら」ですが、古代琉球王国の首都である「首里」の北側(にし)に位置しています。紐解いていくともっともっと沖縄を楽しめそうですね!