1月1日はお正月。沖縄の年中行事、エイサーやハーリー、ジュウルクニチー、タンカユーエーなど、旧暦に沿って行われる事が多いため、旧正月もその一つです。沖縄ではほとんどが新暦のお正月ですが、海人(うみんちゅ)の町、糸満などでは旧正月を祝います。そして3回目の正月はジュウルクニチーと呼ばれます。
2021年の旧暦の1月1日は、2月12日。この日が旧正月です。私が住む那覇市では、新暦(1月1日)にお祝いをしているところが多いですが、海人の町「糸満」などでは、旧正月をお祝いする風習が色濃く残っています。
ちなみに旧正月とは、「旧暦(=太陰暦)のお正月」のことです。日本では、1872年(明治5年)に、それまでの太陰暦にかわり太陽暦を採用したため、太陰暦のことを旧暦とも呼ぶようになりました。
太陰暦とは、月の満ち欠け(周期29.5日)を基準にしたもので、例えば、旧正月は、現在の暦=太陽暦でいうと、1月20日~2月20日頃にあたり、その年によって日付が変わります。2020年の旧正月は1月25日でしたが、2021年の旧正月は2月12日になります。
旧正月には年越しそばの代わりに「ソーキ汁」を食べます。そしてお正月には、豚肉を中心に、縁起が良いといわれている「田芋」や「ソーメン」は欠かせません。
そしてここは沖縄!お屠蘇代わりはもちろん泡盛ですよね!
そして旧正月の朝に初めて汲み上げる水の事を「若水」といい、「若水」を飲むと健康・豊年・幸せが訪れるという言い伝えがあり、家の中の神棚や火の神様、床の間に供えたり、お仏壇には御茶湯にして供えます。
若水をくみ上げる「お水取り」の場所は、首里にある宝口桶川(たからぐちひーじゃー)や、宜野湾の森の川、南城市の垣花樋川(かきのはなひーじゃー)など、沖縄本島に十数か所あります。
旧正月を祝う糸満市の「糸満漁港」は日本最南端の漁港です。旧正月の日は、糸満漁港に停泊している漁船が、カラフルで大きな大漁旗を掲げます。この大漁旗は、その年の大漁祈願・航海安全を願ったもの。
神の島と呼ばれる南城市の久高島。ここでは外間殿において、久高島ならではの神事が行われます。ノロと呼ばれる公事祝女が神事を司り、正月の祝いするのは男性のみ。このあと一転して、カチャーシーが繰り広げられ、女性も、子供も一緒に踊ります。
★旧正月を迎える神の島「久高島」の記事はコチラです。
沖縄にはお正月が3回あると言われています。新暦の1月1日、旧正月、そして旧暦の1月16日に当たるのが、あの世の正月「十六日祭(ジュウルクニチー)」。この日は盛大に祖先供養を行います。2021年の「十六日祭」は2月27日。
この日は、ご先祖様が眠るお墓の前にご馳走をお供えしてから、みんなでご馳走を頂きます。お墓の前でご馳走をいただく沖縄のお墓参り「清明祭」に似てますね。
ちなみに「十六日祭」の由来は、琉球王国時代に、元日から15日までの諸行事を済ませた家来が、16日に故郷の父母に会いに帰省するも、父母は他界しており、年頭の辞を墓前で述べたのが由来だと言われています。
そして最後は、先祖があの世でお金に困らないようにと紙線(ウチカビ)と呼ばれるあの世のお金を燃やして墓参りを終えます。1年に3回のお正月がある沖縄。お年玉のもらえる子供は嬉しいですが、大人は大変ですね(笑)