水牛に乗って海を渡る沖縄の写真、よく目にしますよね。そう、ここは八重山諸島にある由布島(ゆぶじま)なんです。
西表島の東岸に隣接する周囲約2kmの小さな島で、今は島全体が「亜熱帯植物楽園」と呼ばれる植物園になっています。その昔、一度は衰退した島を、あるご夫婦が水牛1頭で土や堆肥を運び、ヤシや花を何年も植え続け、手作りの楽園を作り上げたといいます。そんな素敵な楽園に三線の音色とともに水牛車で由布島へと海を渡ります。
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八重山諸島にある由布島への行き方は、石垣島の離島ターミナルから大原港行きのフェリーに乗り、そこからレンタカーもしくは西表島交通が運行する路線バスに乗り、由布島に最寄りの「由布水牛車乗場」停留所でおります。
水牛車乗場から由布島までは、水牛車で約15分ほどで到着します。
潮位が低く波が静かなときには、徒歩で渡ることも可能で、その時は、水牛車の通行を妨げないために、西表島から由布島への海中に建てられた電柱の横を歩くことがルールとなっているそうです。
由布島と西表島の間の海は、通常は大人の膝に満たないぐらいの深さしかないので歩けるし、徒歩5分と近いのですが、ここはやっぱり憧れの水牛に乗ってみました。
牛使いのスタッフさんが三線を奏でながら、水牛はのんびりと海を渡って行きます。
入園料、往復水牛車チケットは由布島に渡った後、水牛車待合所にて購入します。
(以前は由布島対岸の西表島にある「旅人の駅」でチケット販売を行っておりましたが、2022年1月17日から由布島内の水牛車待合所にてチケット購入になりました)。
由布島に到着すると水牛池があり、渡しが終わった水牛たちは、池でひと休みしています。
水牛車渡しだけではありません。まず島全体が亜熱帯植物園になっているので、島をめぐるだけでも4万本以上のヤシの木をはじめ、ブーゲンビリアなど南国の木や花々が咲き誇り亜熱帯地方特有のさまざまな植物を見ることができます。蝶々園、レストラン・売店、小中学校跡、貝の館、マンタの浜、由布茶屋、ブーゲンビリアガーデン、マングローブ観察遊歩道など、見どころスポットや散策ルートもいくつかあり、島内にはBGMとして沖縄民謡が流れ、のんびりとした時間を過ごすことができます。
また水牛とのふれあい体験もやってました。時間は決まってますが、グループごとに水牛のルイ君やあんずちゃんにさわって、触れ合うことができるのです。
最後に記念撮影。一緒に写真を撮って、1枚だけ記念カードがもらえますが、ちゃんとした記念写真は購入(1500円)することもできます。データももらえるので、LINEなどで発信することもできますよ。
水牛の餌やり体験が出来る「あんず」ちゃん。
島内には30種類以上のブーゲンビレアが一年中咲き乱れている「ブーゲンビレアガーデン」や「貝の館」からリニューアルオープンした「Oasis」もありますが、なんといっても「蝶々園」、ここは必見です!!
たくさんの種類の蝶々たちが、大きな羽で優雅に飛んでいる姿をみられるのですが、なかでも7㎝程にもなる日本最大級の蝶「オオゴマダラ」、このサナギが凄いのです。なんと黄金色!!はじめ、あまりにもきれいな黄金色をしているので偽物のサナギの飾りかと思ってしまったほど。しかし、本物なんです!サナギから蝶に変える姿も見ることができました。
「オオゴマダラ」さすが沖縄県の県蝶に選ばれているだけある蝶々!
黄金色した「オオゴマダラのサナギ」
「スジゴロカバマダラ」と「リュウキュウアサギマダラ」
小さい島ですが、庭園はとてもきれいに整備され、マンタの浜というビーチもあります。
ここには、バリスタが淹れる本格的なコーヒーとジェラートが食べられる「由布島茶屋」があります。
「西表黒糖」、バタフライピーを使った「オキナワンブルー」、「泡盛」など、地元の食材を使ったジェラートがたくさんあるのです。2種類まで選ぶことも出来るので、迷ったときは何人かで違う組み合わせでダブルにして何種類かを味わうなんてこともできちゃいます。
またお土産屋さんを併設したレストランでは、八重山そばや石垣島産和牛カレーなどが食べられ、団体や食事つきツアーに参加した方には、特別メニューの島食材を使った定食(写真)が用意されています。
マンタの浜は、名前のとおり、目の前に見える小浜島との海域に、マンタが回遊するダイビングポイントがあるそうで、天気がいい日は、この浜から小浜島や嘉弥真島、石垣島、黒島、新城島など周辺の島々も見ることができます。
またお土産も水牛のぬいぐるみやTシャツ、由布島オリジナル商品がたくさんあります。
私は由布島ラベルの泡盛を購入しました!
帰りも三線の音色とともに水牛車で西表島へと戻りました。
行きと比べて水牛がびっくりするほど早い!最終便だったのですが、もう終わりだと水牛たちもわかっているみたいで早く帰りたいのか、通常15分のところ5分ほどで西表島に到着しました。
三線「ハイサイおじさん」のリズムに合わせて足早になり、大笑いして帰ってきました。
由布島と西表島の水牛は、だいたい30分おきに出てます。
西表島に隣接している由布島は、ツアーで参加すると、西表島仲間川ジャングルクルーズとのんびり水牛車にゆられて由布島のコースになります。石垣港からの乗船券や、由布島で昼食もついてゆったりできるので、ツアー参加も検討したいですね。
今は観光地として賑わっている由布島ですが、その昔、一つの集落があったといいます。
戦後昭和20年(1945年)頃から、稲作に不適であった竹富島や黒島から川がある西表島へと稲作のため移り住み、その際に当時流行したマラリアから逃れるために、蚊のいない由布島に人が住むようになったそうです。
1948年には小学校が開校し、当時は石垣島との間に定期航路もあったんだとか。
しかし、1969年(昭和44年)の台風11号エルシーにより島全域が水没するなど壊滅的な被害を受け、1971年(昭和46年)には住民のほとんどが西表島へと移住して、美原集落を形成。由布島には3世帯のみが残ったそうです。そしてその最後に残った住民、西表正治ご夫妻が、「島をパラダイスガーデンへ」という篤い思いで、1頭の水牛で土や堆肥を運び、ヤシや花を植え続け、この由布島に植物園を作ったと言われています。
いま、こうして素晴らしい庭園があるのも、西表ご夫妻がいたからなんですね。
住所:沖縄県竹富町古見689
電話:0980-85-5470(亜熱帯植物楽園由布島)
交通:大原港から車で15分、水牛車乗り場から水牛車で10~15分
営業期間:通年
営業時間:9:30~16:00(入園締め切り15:15)
休業日:台風時
料金:◎往復水牛車&入園料 大人2,000円(中学生以上)、子供1,000円(小学生未満は無料)
◎徒歩入園料 大人700円(中学生以上)、子供350円(小学生未満は無料)
※チケット売り場では指定のクレジットカードや電子マネーが使えますが、レストランなどでは現金しか使えません。