今のご時世、ご自宅で過ごす時間が多くなってきていますが、そんなおうち時間を、大好きな沖縄が舞台になっている小説を読みながら過ごしませんか?私がまだ沖縄に移住する前、大好きな沖縄に行けない寂しさを紛らすため、少しでも沖縄を感じようと、沖縄が舞台となっている本を読みあさっていたのを思い出します。
目次
第6回沖縄書店大賞受賞作の「ムゲンの i」。眠りから醒めない〈特発性嗜眠症候群〉という難病の患者を3人も同時に抱え、神経内科医の識名愛衣は戸惑っていた。霊能力者である祖母の助言により、患者を目醒めさせるには、魂の救済〈マブイグミ〉をするしか方法はないと知る。
愛衣は祖母から受け継いだ力を使って患者の夢の世界に飛び込み、魂の分身〈うさぎ猫のククル〉と一緒にマブイグミに挑む。
次々とマブイグミを成功させる愛衣は、次第に、患者のトラウマが都内西部で頻発する猟奇殺人と関係があることに気づく。しかも、その事件は23年前の少年Xによる通り魔殺人とも繫がっていた。愛衣は難事件の真相究明に立ち向かう。
上下巻あって読み応えバッチリ。上巻とは打って変わって下巻は怒涛の展開。読んでいくうちに、ズレを感じたり、もしや??いやでも時系列的におかしいか・・って思って読んでいたら・・・まさかの?!引き込まれます(笑)
宮古島が舞台の小説「お父さんはユーチューバー」。宮古島のゲストハウス「ゆいまーる」のひとり娘、小学5年生の海香は絵を描くことが大好きで、将来は東京の美術大学に入りたいと思っていた。そんなある日、父親の勇吾が宣言した。「俺はユーチューバーになる!」 宮古島の自然とゲストハウスに集う人々を通じて描く家族小説。
突然「ユーチューバーになる!」と宣言したお調子者のお父さんですが、その裏には感動の事実が待っているのです!ライトなタイトルとコミカルな語りに騙されないでください!私は泣いちゃいました(笑)
実はこの「月と珊瑚」は児童書なのです。「わたしは、六ねんせいになったので、べんきょうをがんばります。」ひらがなだらけの作文を、クラスメートに「あなた、ほんとに六年生?」ってばかにされた。勉強ができないことを恥ずかしいと感じ始めた少女・珊瑚のクラスに転校してきたのは、まるで『ベルサイユのばら』のオスカルのような、男の子か女の子かわからない月(るな)という子。珊瑚の日記に描かれるのは、エイサーを舞う姿がかっこよかったり、ひいおばあちゃんが辺野古に座りこみに行ったり、耳をつんざくような戦闘機の轟音で機体の種類を当ててしまったり、その逆に轟音が聞こえると耳をふさいで動けなくなってしまったりする同級生たちの姿。珊瑚の「月と仲良くなりたいな」と思う日常を描いた、たどたどしい日記からは、沖縄の子どもたちが、いま、目にし、感じていることのすべてが浮かび上がってくる。子どもの貧困、学力の差、沖縄文化の継承、そして米軍基地問題……。沖縄に移住した作者があたためてきたテーマが、いま花開く。
長編推理小説「月の扉」。沖縄・那覇空港で、乗客240名を乗せた旅客機がハイジャックされ、犯行グループ3人の要求は、那覇警察署に留置されている彼らの「師匠」を空港まで連れてくること。ところが、機内のトイレで乗客の一人が死体となって発見され、事態は一変します。極限の閉鎖状況で、スリリングな犯人探しが始まる。知的な会話劇にどんどんのめり込んでいける一冊!
かりゆし58の名曲「アンマー」に着想を得た感動長編「アンマーとぼくら」。休暇で沖縄に帰ってきたリョウは、親孝行のため元・ツアーガイドのお母さんと島内を観光する。一人目の「お母さん」はリョウが子どもの頃に亡くなり、再婚した父も逝ってしまった。子どもの頃に、父と「おかあさん」と沖縄で過ごした日々を思い出しながら観光を続けるうち、リョウは何かがおかしいことに気がつきます・・・。涙が溢れ、心が温まり、自然と穏やかに、みんなの幸せを願う気持ちが、湧き上がってくる一冊。
沖縄生まれの著者、湧上アシャ氏が描く、リアルでリリカルな希望の物語です。沖縄のある街に住む中学生・サトは、夏休みに祖父である「やんじい」が営む、山原の森の中にあるコーヒーショップ「ブルー・ノート・スケッチ」で過ごすことになります。そこで出会ったのは、なんじい、シンガー杏といった個性的な大人たち。そしてその森で、白い髪の、白い肌の、銀色に輝く美しい少女・エメを見つけ、そこから特別な夏が始まります。しかし、やがてその森にも、少しずつ、沖縄の現実が襲いかかろうとしていました。沖縄の少年・サトは自分が進んでいく道を見つけることができるのか?銀色の少女・エメの夢は叶うのか?沖縄を舞台に描く希望の物語です。
大藪春彦賞受賞の傑作、ヒキタクニオ氏の「遠くて浅い海」。人を殺し、その人の生きて来た痕跡まで消してしまう「消し屋」。ひとつ仕事をやり遂げた船旅の終わり、オカマの蘭子と沖縄へ向かう消し屋に、奇妙な依頼が舞い込みます。ターゲットは若き天才。しかし殺すのでなく、自殺に追い込んでほしいという依頼。若くて健康で金持ちの天才を、どうやって自殺させる?天才の邸の客となった消し屋が、彼の人生を辿りはじめると、忌まわしくも哀しい記憶がゆっくりと蘇ってくる。シリーズものなので、『凶気の桜 (新潮文庫)』『消し屋A (文春文庫)』の後に読むと、もっと楽しめる一冊。
よしもとばなな氏が描く、沖縄を舞台にした短編集「なんくるない」。沖縄には、神様が静かに降りてくる場所がある・・・。心ここにあらずの母。不慮の事故で逝った忘れ得ぬ人。離婚の傷が癒えない私。野生の少女に翻弄される僕。四つの物語のなかを沖縄の光と風が通りすぎてゆく、そんな物語です。なんてことないよ。どうにかなるさ。人が、言葉が、光景が、声ならぬ声をかけてきて、何かに感謝したくなる、滋味深い物語の贈り物です。生きることに少し疲れたあなたへおススメの癒しの一冊。
この本は、沖縄を舞台にした當眞嗣朗氏のスピリチュアル・エンタメ小説。第1章の「物語のはじまり」から始まり、「物語の終わり」まで全13章で構成されています。
物語は、少々センセーショナルなシチュエーションから始まります。墜落の過程にある飛行機の中で、誰もが我を忘れて取り乱す中、ある紳士が平然と席に座り、「この飛行機は絶対に墜落しないよ。みんなの愚かな『思い込み』を捨てるんだ」と語る。
次にはガラリと話が変わり、雪原の中をかける少女が出てきたり、またその次はとあるレストランだったりと、舞台設定がめまぐるしく変わります。
最初は「???」と思うけれど、読み進めていくうちに少しずつ、この小説の言わんとしていることが徐々に繋がってくるのです。指標は冒頭の紳士の言葉『思い込み』を捨てるということ。さらに、登場人物同士の会話の言葉の中に、沖縄の抱えている問題への筆者の思いが込められているように感じ、固定観念や思い込みが結局自分を苦しめているのかな~と思い起こさせる一冊でした。
個人的に大好きな桐野夏生さんの小説。「メタボラ」とは「メタボリズム(METEBOLOSM)」からの造語で、そもそもは生物学用語で「新陳代謝」の意味のようですが、都市を生物体としてとらえようとする建築家たちの運動でもある。と、帯に書かれていました。
物語は真夜中に沖縄のジャングルをさまようシーンから始まります。記憶をなくした「僕」の視点で始まった物語は、第2章では昭光という男の子の一人称で語られ、以降は「僕」と昭光の2人の視点で交互に語られながら進行していきます。
2人が暮らし始める沖縄本島の雰囲気はとても陽気で風景は綺麗だけど、どこか閉塞感に満ちており、その原因は、沖縄の慢性的な不況、米軍基地の存在、本土からの移住者の増加による環境の変化…などなど、様々な要因が絡まりあっていて、その複雑さがよく伝わってきます。「僕」はなぜ記憶を無くしたのか、なぜ沖縄にいるのか、なぜ何も持っていないのか、というのが物語の要で、記憶を失った「僕」が過去のおぞましい記憶を思い出すとそこには・・・。
桐野夏生さんらしい切なく悲しいそして空しい結末です。とても読み応えがありました。
この本はもう何度読んだかわからないくらい大好きな本です。
この本は、沖縄と聞いて誰もがイメージする青い海のビーチリゾートや米軍基地問題などは出てきません。そこに登場するのは、本土から那覇にやって来た、元丸の内OL、キャバクラの客引き、借金がかさんだ出版社社長、レズビアンの恋人たちなどの本土の人ばかり。
出てくる場所も私が住む国際通り界隈のマチグァー(商店街)や美栄橋駅界隈、コーヒーをデリバリーするお店や栄町りうぼうなどなど、実際の名前は出てきませんが、いつも身近な街並みやお店が頭に鮮明に浮かびます。
物語は居場所を失った男たちや、いる場所を見つけたい女たちが、哀しい思いや辛さを心の奥底に沈めながら生きてきた人々が住む街「那覇」に辿り着き、ディープな「那覇」を背景に、心の中の大切な何かを守りながら、他人との出会いに新しい自分を見つけていく人々の姿を描いています。読み終わった後に、本の帯に書いてある「那覇、ここじゃないどこかを探して」の言葉がとても切なく心に響きました。また読もうかな。
さていかがでしたか?すべては私個人の感想なので、ぜひご自身で読んでみて沖縄を感じてくださいね!そして今回、取材にご協力して頂いた「ジュンク堂書店那覇店」様!ありがとうございました。沖縄で本を買うならジュンク堂さんへGO!!
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