沖縄県島尻郡南風原の老舗料亭「松風苑」は、昭和29年(1954年)に那覇で創業した「かどや」が前身。沖縄風すき焼きを広め、本格日本料理も提供する歴史ある名店です。特に有名なのは、「ウルトラマン」生みの親の一人、金城哲夫の生家であること。彼が執筆に使った離れの書斎は「金城哲夫資料館」として保存・公開されており、功績を今に伝えています。伝統の味とウルトラマンのルーツを辿れる場所です。
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沖縄の食堂メニューの定番といえば「沖縄風すき焼き」です!こちらは食堂ミルクのすき焼きです。一見、野菜炒めにも見えますが、味はすき焼きの味です。
こちらは三笠食堂のすき焼き。お箸ではなくスプーンが付いているのも沖縄っぽいですね!
そしてコチラは食事処みかどのすき焼き。本土のすき焼きでは白菜を使うことが多いですが、沖縄風すき焼きはキャベツをたっぷり使うのが一般的です。その他、レタス、ニンジン、モヤシ、青菜など、本土ではあまり使わない野菜が入ることもあります。
そしてすき焼き鍋ではなくフライパンで作り、平皿に盛るのが沖縄風です!
国際通りにほど近い「餃子屋弐ノ弐 那覇店」。この場所に松風苑の前身「かどや」がありました。金城哲夫さんの母のつる子さんがこの場所ですき焼き店を始め、大繁盛!のちに南風原町に料亭を建設して移転し、「松風苑」としてオープンしました。
金城哲夫さんの父、金城忠栄さんは、嘉手納の農林学校を卒業後、東京の獣医大学に進みます。獣医の免許を持っており、戦前は南風原を中心に獣医の仕事をしていました。戦争中は、戦地に赴いていましたが、獣医として後方で馬の治療担当となったため、命拾いをしています。
戦後はアメリカ世(沖縄がアメリカの統治下にあった期間)になり、九州から輸入する肉の検疫官となります。九州で検疫に立ち会う時に、すき焼きを知ります。立場上、肉のルートがわかるので、沖縄のこの場所で、1階を食堂、2階ですき焼きを提供する宴会場として店を始めました。
写真はランチメニューで「花 オーストラリア牛サーロイン」3800円(税込み)。
創業当時は牛脂が入りにくかった時代。油はラードを使い、オリジナルでにんにくを入れる料理法を今も続けています。松風苑は食堂ではないので、フライパンではなくすき焼き鍋で作っていきます。
そして白菜ではなくキャベツ!にんにくが良いアクセントになっています!
麺はうどんではなく沖縄そば。こちらも沖縄風ですね!くるま麩が入っているのも嬉しい!
デザートは、金城哲夫氏の妻、裕子さんが担当しています。松風苑では創業以来のすき焼き料理に加えて本格日本料理も提供していますので、HPでメニューを確認してくださいね!予約制ですので、必ず予約をして来店してください。
松風苑の敷地内にある金城哲夫資料館。金城哲夫氏(1938-1976)を抜きにしてウルトラマンは語れません。中学生まで沖縄県南風原町(はえばる)のこの地で育ち、高校から上京して、学生時代から円谷プロにて特撮に関わります。
金城哲夫氏が26歳の頃、ウルトラマンの前身「ウルトラQ」を企画したので、ウルトラマンの生みの親とも言うべき方です。ウルトラシリーズの中には沖縄関連の怪獣が登場してきます。チブル星人は沖縄の言葉でチブル=頭、ザンパ星人は残波岬や琉球泡盛「残波」、そして、キングジョー。金城さんの名前そのものですね。
金城哲夫資料館は松風苑の中にあり、円谷プロを退社後、32歳から若くして亡くなる37歳まで、本人が仕事場として利用した場所です。
松風苑に入るとこんな所に金城哲夫さんの資料館が?と思うような趣のある日本庭園の中にあります。大きな鯉が泳ぐ庭園も楽しませてくれます。ぜひ松風苑を訪れた際には、金城哲夫資料館へもお立ち寄りください!金城哲夫資料館も予約してくださいね。
参考文献:山田輝子著 金城哲夫の生涯 ウルトラマンを創った男
沖縄タイムス発行ウチナー昔たび 2025年5月号
住所:沖縄県島尻郡南風原町字津嘉山1384 ☎098-889-3471 営業時間:昼食11:30~15:00(L.O14:00)、夕食17:00~22:00(L.O20:00) 年中無休
住所 | 沖縄県南風原町字津嘉山1384 |
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電話 | 0988-89-3471(松風苑)10時頃~ |
見学の際の注意 | 必ず予約の連絡をしてください。 |