「ヤハラヅカサ」のある百名の海岸からほど近い場所に、2つの泉があります。西側を受水(ウキンジュ)、東側を走水(ハインジュ)といい、受水に面して御穂田(ミフーダ)と呼ばれる田があります。琉球における稲作発祥の地という伝説があり、旧暦1月の最初の午の日には、親田御願(ウェーダウガン)と呼ばれる田植えの儀式が毎年行われています。
「東御廻り(あがりうまーい)」は、琉球の精神文化にふれる旅といわれています。沖縄には古くから祖先を敬い、自然の恵みに感謝し祀ってきた歴史・文化があり、「東御廻り(あがりうまーい)」は沖縄本島の14の聖地を巡る旅。「受水走水」も東御廻り(あがりうまーい)の一つで、「ヤハラヅカサ」にアマミキヨが上陸して、「浜川御嶽(ハマガーウタキ)」で仮住まいして、すぐ近くのこの「受水走水」で稲作を始めました。
近くの駐車場に車を停めて少し歩くと「受水走水」の石柱があります。駐車場は浜川御獄において、ヤハラヅカサ、そしてこの受水送は徒歩圏なので歩いて回るのもいいですね。
が、見落としてしまう恐れがあるので、注意深く探してください。
そこから畦道に入ると、突き当りに「受水走水」があります。
周りの畑から一段と高くなった左手に小さな水田があり、「御穂田(みふーだ)」と呼ばれています。
右手の少し下がった所にやや広い水田があり、こちらは「親田(うぇーだ)」です。
御穂田(みふーだ)の向こうには緑で囲まれた岩場があり、湧水が流れています。これが受水(うきんじゅ)。「緩やかに流れる溝」という意味。
そして右側にも岩場があって、崖下に出来た洞窟の奥深くから湧水が流れ出しています。こちらが、「走水(はいんじゅ)」で「早く流れ出す溝」という意味。受水から流れ出す清水は御穂田に注がれ、走水からの細い流れは親田に続いています。旧暦1月の最初の午の日には、親田御願(ウェーダウガン)と呼ばれる田植えの儀式が毎年行われています。小さな小さな田んぼですが、アマミキヨが植えたとされる貴重な田んぼなのです。
とはいうものの、沖縄での米の生産量は少なく、その原因は、沖縄県ではサトウキビの栽培が中心となっていることが挙げられます。実は米作りは沖縄の気候に合っていて、以前はあちこちで作られていたのですが、昭和30年ごろから砂糖の値段が上がったため、多くの稲作農家がサトウキビ農家へと変えていきました。そして戦争が終わった後、昭和47年の本土復帰までの間、外国から安い米が自由に輸入されるようになった為、稲作農家がどんどん減少。干ばつが頻繁にあり、沖縄には大きな川もない為、水不足になりやすく、多くの水を必要とする稲作がやりにくかったなどの原因から、お米の生産量が少なくなりました。
この「受水走水」でできた貴重なお米を食べてみたいもんですね!
住所:沖縄県南城市玉城百名1681