那覇市壺屋の国指定重要文化財「新垣家住宅」は、戦前から残る唯一の陶工住宅です。この度、一般公開に向けた整備が完了し、3月5日にプレオープンとなりました。3月はプレオープン期間で、4月3日(土)の正式オープンの日には、テープカット等式典が行われます。
今も壺屋やちむん通りに残る登り窯の「南窯(ふぇーぬがま)」から少し離れた場所にある、昔ながらの琉球家屋形式を残す「新垣家」。約400坪の屋敷内には、奇跡的に沖縄戦の戦火を免れた登り窯と井戸、沈殿池、離れの作業棟があり、壺屋(つぼや)陶業の歴史を知る上でたいへん貴重なものです。
赤瓦屋根の上にある「チブル(頭)シーサー」を近くで見ると、迫力がありますよ!
新垣家住宅は、那覇市壺屋に所在する陶工の住宅で、1974年まで陶業を営んでいました。
壺屋やちむん通りといえば「南窯(ふぇーぬがま)」が有名ですが、この新垣家の敷地内にも国の重要文化財に指定されている「東窯(アガリヌカマ)」があります。
この東窯は、琉球王国の官窯(カンヨウ)でした。ちなみに官窯(カンヨウ)とは宮廷(=官)が設けて経営する窯のこと。登り窯は傾斜地に作られ、中はトンネル状になっていて、上に行くほど余熱効果で早く焼き上がるそうです。
現在、窯は使用はされていませんが、壺屋焼保存会の方々はせめて年に一回だけでも窯に火を入れ、昔ながらの壺屋焼を再現できないかと考えられているそうです。実現するといいですね。
こちらは「フール」とよばれる豚の飼育小屋を兼ねたトイレのことで、沖縄の民家の特徴の一つでしたが、戦後はみられなくなりました。中国から伝来されたものといわれています。構造は石組みで区画がなされ、床は石敷でした。フールの構造に関しては、人間の大便を家畜である豚に飼料として食べさせる形式のトイレ。しかしもちろん豚は、人間の大便のみを飼料としていたわけではなくトゥニイと呼ばれる餌入れも設置されています。
このような沖縄独特のものも見学できるのは嬉しいですね。
2009年に東ヌ窯が老朽化や大雨で倒壊し、国、県、市が費用を負担し、母屋なども含めて15年まで修復しました。その後、一般公開に向けて防災設備を設置し、離れを展示室に改装。
2021年3月5日からは金、土、日曜日の午後1時~午後5時に観覧できますが、個人所有の住宅のため母屋などは公開せず、公開されるのは登り窯「東(あがり)ヌ窯」などの敷地の一部のみとなり、料金は無料です。
昔ながらの貴重な沖縄の風景を垣間見るチャンスです。ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?
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写真撮影:中谷英徳さん
住所:那覇市壺屋1丁目28−32