★体験レポート ~青木さなえさん
那覇市仲井真にある「久米仙酒造」に見学と取材に行ってきました。定番の『久米仙』各種、内モンゴルの泡盛工場『響天』を作り、樫樽貯蔵のユニークなネーミング『奴樽蔵(やったるぞう)』、沖縄県外を中心に販売をする『鯨』など楽しませてくれますが、米国占領下の時代ウィスキー文化のため、泡盛を広めようと導入した久米仙グリーンボトルがきっかけで、泡盛の注目度が高まっ手いて、チャレンジ精神満載のメーカーさんです。
泡盛の酒造見学は、何度か参加していますが、それぞれの蔵の工夫などの違いがわかり、ますます興味がわきます。
泡盛の原材料。これは「タイ米」。またお米そのままの状態を「丸米」、お米を砕いたものを「砕米(さいまい)」といい、久米仙酒造では丸米を使ってました。タイ米を使う理由は様々ありますが、一番は麹づくり、黒麹菌との相性かと思われます。たまに島の国産米を使うこともあります。仕込みのタンクを覗かせていただきました。
昨日入れたもろみ。
最初の2日間は元気良くぼこぼこと発酵している姿が見られます。2週間ほど過ぎれば、ぼこぼこが消え、その後蒸留するわけですが、この蒸留機の形でも味わいに重要な変化をもたらすそうです。
縦型だとすっきりした泡盛、横型だとどっしりした泡盛になり、泡盛の銘柄により分けたりブレンドしたりするそうです。つまり蒸留機釜に入った「もろみ」の液面から、蒸留機の上部の連結部「ワタリ」までの高さで左右されるというわけ。また蒸留機釜の上の「濃縮塔」と言われる形によっても変わり、その「濃縮塔」がぷっくり膨らんでいるほど、風味は軽くなると言われています。
さらに「減圧蒸留」か「常圧蒸留」かによっても変わります。「減圧蒸留」は釜の中の空気を抜いて減圧することでアルコールの沸点を下げます。常圧蒸留では90~100℃で蒸留、泡盛の独特なコク、風味があるどっしりとした味わいになるそうです。マニアックな話ですが、私にもようやくこの違いが良くわかるようになりました。
蒸留担当の平良さん
ブレンド担当の小波本さん
そして会長の平良正諭輝さんにも久米仙酒造のこだわりなどを取材させていただきました。
久米仙は比較的、クセがない飲みやすい泡盛が多いのですが、最近は樽(たる)仕込み泡盛の原酒の味を再現したリキュール「G.E.M.(ジェム)」や北大東島のジャガイモを原材料とした焼酎「ぽてちゅう」やコーヒー泡盛などを出して、新しいカテゴリーにも挑戦しています。
貴重なお話しを伺い、また試飲もさせて頂き、大満足な1日でした。ありがとうございました。
住所:那覇市仲井真155番地
電話:098-832-3133
蔵元見学は、事前に連絡してください。土、日はお休みです。
文:青木さなえ