ピークには300軒ほどのゆーふるやー(銭湯)があった沖縄県。2014年5月に那覇市の日の出湯が廃業したことから、沖縄市の中乃湯が唯一残った銭湯になりました。中乃湯を守るのは仲村しげさん。フロントに座らず、入り口のベンチで出迎えてくれます。最近は中乃湯応援団も出来ていますよ。
手ぶらでいっても石けんとタオルを貸してくれます。でも、中乃湯オリジナルタオルを購入。売上貢献しましょう!
「皆様石鹸」も気になりますね。
ココが本来のシゲさんの定位置、番台ではなく、フロント式になっています。木札に「わ」と書かれています。さて、これは何の意味???
少し考えてみてくださいね。
まずは、脱衣所です。ロッカーには鍵はありません。貴重品があったらどうするんだ!と、心配する向きもあるかもしれませんが、その答えはこのあとすぐ!!
そうなんです。間仕切りがありません。脱衣所と湯船の間の仕切りがないので、セキュリティは万全です。
本当のところは、間仕切りというのは保温のためにあるものなので、温かい沖縄には不要ですね。
湯船は一つだけ。本来沖縄ではシャワーで済ますことが多く、湯船に入らないことが多いと聞きます。色がついているのは入浴剤です。他に銭湯があった時代も同じように、入浴剤が使われていたそうです。
浴槽は「湯池(いけ)」と呼ばれ、中国様式の影響があります。もともと琉球王国は貿易国。中国との交易をしていたわけですから当然ですね。
蛇口が面白いでしょ。お湯と水を調整して、使います。最初は戸惑いましたが、慣れてくるとなかなか便利です。シャワーの代わりになったりします。
ひげそりや体を洗うときは、立ってすることが多くなります。鏡があの位置ですからね。もちろん、洗面器と椅子はありますよ。「ケロヨン」じゃないですが。
いつも外のベンチで座っているシゲさんと、お風呂上がりにゆんたく(おしゃべり)をすることが楽しみの一つと言えます。ここに来る常連さんがあるときは店番を引き受け、お湯の量を増やしたり、温度を上げたりとシゲさんが動きます。
取材の日は開店時間に合せて、14時に。すると、中から出てくるお客さんがいるのです。「時間、間違えたかな」とシゲさんに聞くと、「いつも早く来て、ベンチに座って待ってるから早く開けたりするさ~」
ということで、開店時間は14時頃です。
シゲさんは、今年92歳。「シゲさん、いつまでもお元気で!」。また、会いに行きたくなる場所ですね。
沖縄の銭湯は、体を暖めるというより、ご近所の人たちが集まり、ゆんたくする「憩いの広場」のようなもの。初めて行っても、シゲさんは声をかけてくれる、心温まる場所のことをいうんだなと気づきました。
その銭湯もココが最後。沖縄独特の文化ともいうべき銭湯は、大事にしたいですね。
中乃湯は地下300mから地下水を汲み上げて、ボイラーで温めていますが、良質のアルカリ鉱泉であることが確認されています。肌がすべすべしてきますよ。
シゲさんは90歳を超えても、毎日入り口でみんなを待ってくれていますが、一人で運営していくのは大変です。息子さん(仲村一郎さん)も頑張っていますが、自分の仕事もあって毎日は困難なので、掃除など有志の方が応援しています。
中乃湯(沖縄唯一の銭湯)応援団のfacebookページはコチラです。
住所:沖縄市安慶田1-5-2
電話: 098-937-8953
入浴料:大人(12歳以上の者)370
営業時間: 14:00頃~20:00 定休日:木曜・日曜
駐車場:2台