西表島の9割近くがジャングルで覆われた自然の宝庫。原生林に覆われ、その大部分が秘境だが、さらに秘境中の秘境の集落があります。陸の孤島「船浮(ふなうき)」です。西表島でありながら、陸路がなく、船でしか行くことが出来ない場所なんです。
目次
まず石垣島から西表島の大原港か上原港まで高速船で渡ります。
そこからさらに船浮への定期船がある白浜港へと向かうのですが、その白浜までも遠いのです。バスで上原港から30分、大原港だと1時間半もかかります。
船の発着時間に合わせて、白浜まで船舶会社が運行する送迎バスが走っているのでそのバスを利用しましょう。西表島までの船のチケットを買うときに白浜までの行きますと言うと、白浜までの無料で乗れるバスきっぷがもらえます。他にも公共の路線バスも1日に4本ほど出ています。
白浜まで近い上原港を利用したいところですが、外洋の影響を受け、海が荒れると欠航することもしばしばあります。船浮を目指すのであれば、石垣島からの船の時間とバスの時間、船浮への船の時間はそれぞれタイミングよく組まれているとは限らないので、時間的余裕を必ず持ちましょう。今回、私は波照間島からだったのでダイレクトに出ている船を利用しようかとも思いましたが、不定期で1日に昼間に1便しかなく予約制になるので、朝一で一度石垣島に戻り、西表島へと渡りました。
バスにゆられ、山々を超えて、ようやく白浜港へと到着しました。
白浜港から船浮へは定期船が1日4~5便運行されています。船に乗ってしまえば10分ほどで船浮に到着します。
船はマングローブに囲まれたジャングル、内離島の間をとおり、船浮湾に到着します。
海と山々に囲まれ、そこにひっそりと小さな集落があるのです。
ここだけ時間軸が違う気がします。
この小さな小さな集落から内陸に入るとすぐに木々が生い茂る深いジャングルになります。
鳥の声、何だかわからない獣の気配もします。
歩くこと15分、この森を抜けると、ちょうど集落の反対側にイダの浜と呼ばれる手つかずの自然のままの美しいビーチがあります。
船浮まで来た人はほとんど日帰りで、船で来てこの浜で海水浴、またはイダの浜へは西表島や近隣の島からシュノーケルツアーなども出ていて、日中はちらほら人もいます。
しかし、16時すぎになると人が段々といなくなり、ここからが本当の船浮タイムです。
誰もいません。集落からも離れているので、完全にプライベートビーチです。
整備されたリゾートにはない、昔から変わらない自然のままの本来の姿をした海がそこにはあるだけ。
ここには何もないと言うけれど、私にとってはすべてがあるんです。
都会にはないすべてが。
日が沈むまでのんびりしたいけど、日が暮れてからあの道を歩くのは少し怖いので集落に戻ります。
初めて八重山諸島(石垣島)に来て、初めて泊まった場所が西表島の船浮でした。
こんな場所、日本にはなかなかないです。ありのままの昔からある場所。
だから、どんなに時間がかかっても、どんなに移動が大変でも、ここに来てしまうんです。
人々は海で魚を獲り、貝を拾い、イノシシを食べます。人里離れたこの村では貴重なたんぱく源ですからね。
いつもお世話になっている「ふなうき荘」では、イノシシ猟が解禁となる毎年11月からはイノシシが獲れた時には食べさせてくれるっておっしゃってました。
初めて訪れたときは予約してないにも関わらず泊めてくれて、お父さんのイリオモテヤマネコの貴重な面白いお話を聞きました。
今回はご本人がいらっしゃいました。卓さんは船浮出身で、島外の様々な場所で活動していながら、いまだ船浮に住んでるんですって。だからあんな素晴らしい楽曲が生まれるんですね。
イダの浜で遊び、三線をひき、ここで育った池田さん。本当に素敵です。
池田卓さんと横並びでご飯を食べ、お話させていただきました。
ここでやってる「じゃじゃ丸ツアー」っていうのも、なんと卓さん自らガイドをやってくれるそうです。
ふなうき荘のお隣に離れがあり、そこに毎年夏の時期に1週間ほど滞在するフィッシャーマンたちがいました。
たまたまその中のお一人の方と石垣空港からのバスで同乗し、船浮に行くとのことで、釣ったお魚を食べさせてくれるとのこと。
船浮に泊まる人なんてほとんどいないのに、まるで奇跡のような偶然。
しっかり夕飯食べたあとに、その離れ、小屋(?)に遊びに行きました。
釣った魚は、すごい量。しかもなかなか食べられない高級魚もあります。
さすがは本物のフィッシャーマンたちです。アカジン、カスミアジの刺身に、ガーラの煮付け、グルクンのなめろう、オジサンのアクアパッツァ…、すべて自分たちでさばき、料理してました。
そして、彼らの大冒険の話が始まったのです。
時は20年ほど前にさかのぼり、イリオモテのターザンと呼ばれた砂川さんに出会った話になりました。
当時、彼らはある魚を追い求め、彼らは船浮よりさらに西表島の秘境、陸路も船もない道なき場所に行くために、南風見田の浜から崎山湾の岬に向かって海岸をつたって1泊2日かけ、干潮のときだけ海岸歩き、岩場をつたい、テントも張れない場所なので、岩と岩の間に入って寝ながら行ったときのこと。
そんなジャングルの山奥の人なんていないと思ってた場所に、一人の男の人が住んでたそうなんです。それが砂川さんで、もう10年以上前に亡くなったそうなのですが、出会った時のことを話してくださいました。
小屋には泡盛の瓶がたくさん並べてあって、ドラム缶の風呂に入り、1週間に1回ほど、村まで歩いてきて買い出しをして生活してたみたいです。
その話を聞いた後、食堂に戻ったら、砂川さんのことを書いた本がありました。砂川さんが残した言葉と共に。
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…人生(ジンシェー)は
決められていない
それが人生さ。
…あきらめたとき
その人は死ぬのさ。
…だから、ボクは、ココがいい。
ココがいい、といって
ココにいる。
※「イリオモテのターザン 恵勇爺と泡盛談」より砂川けいゆうじいの言葉
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砂川さんは、自然と共に生きてたんだなと。もうこの砂川さんの家を見られないのは本当に残念です。
そして、砂川さんに負けず劣らず、知り合ったフィッシャーマンたちもこの時期だけは、イリオモテのターザンだと思いました。
ちなみに今は、この船浮で船を手に入れて、岩場で寝なくても釣りのポイントに行かれるようになったそうです。
船浮集落は、港の一角の狭いエリアにあります。人口は現在50名ほど、宿は3軒ほど、カフェ、食堂もあります。
「イリオモテヤマネコ発見捕獲の地」
小中学校は一緒、郵便局はなくポストのみです。
もちろんコンビニなどはなく、小さな売店のみ、自動販売機はありました。
船浮は人間が生活するうえで、最低限のものしかありません。でも本物の、大自然があります。ここに住む人もまた、自然と共に生きています。
どうか、この村が変わらずに、ずっとこのままでありますように。
住所:竹富町字西表2458
電話:0980-85-6552 (白浜営業所:平日)・0980-85-6161(船浮営業所:土日)
船浮海運のHPはコチラです。
住所:〒907-1542 沖縄県八重山郡竹富町字西表 2458
電話:0980-85-7155
ふなうき荘のHPはコチラです。
電話:090-8837-7155
じゃじゃまるツアーはふなうき荘HP内・船浮の観光の中にあります。