沖縄では旧暦に合わせて様々な行事や神事が行われます。旧暦でお盆を行う沖縄では、毎年旧暦の7月13日~7月15日までがお盆の日となっています。沖縄の旧盆は、旧正月や清明(シーミー)と並び、沖縄の大きな行事の一つとされています。2024年の沖縄のお盆は、8月16日(金)~8月18日(日)。今独特な風習を持つ沖縄のお盆について紹介しましょう!
沖縄のお盆は3日間を1日目(ウンケー)2日目(ナカビ、ナカヌヒー)、3日目(ウークイ)と分けて行います。
今年2024年の旧盆は8月16日(金)~8月18日(日)。昨年の2023年は8月28日(月)~8月30日(水)と、お盆の日が毎年変わるのも旧暦ならでは。2019年度の旧盆は、8月13日(火)~15日(木)と全国的な「お盆」と重なる、とても珍しい年でした。
まずお盆の初日に当たる「ウンケー」では、ご先祖様を自宅へ迎える行事が行われるのが一般的です。ウンケーでご先祖様を迎えた後のナカヌヒ(中日)とウークイ(最終日)は、一日三食、全てをご先祖様と共にします。毎回料理を作り、生きている家族と同じように、お仏壇にお線香と共にお供えします。
初日は夕方にご先祖様をお迎えするので、夜ご飯のみをお供え。お供えするものは
・ウンケージューシー
・ウサチ(酢の物などの副菜の小皿)
・ソーローハーシ(御先祖様にお出しするお箸)
・ショウガ(葉を付けたままのショウガ)
ちなみに「ジューシー」とは沖縄の炊き込みご飯のことで、ウンケーに食べるジューシーは「ウンケージューシー」と呼ばれます。沖縄のお盆と言えば重箱料理の供え物「ウサンミ」のイメージですが、ウンケーではまだ登場しません(笑)
お盆2日目の「ナカヌヒ」は、仏壇を持たない家は、仏壇のある家を回り「お中元」を届ける親戚廻りの日。親戚が多いと言われる沖縄では、1日に7~8軒を回ることもあるため一番忙しく、お中元の相場は一個につき千円が目安。内容は全国的なものとあまり変わりはありませんが、かつお節やシーチキン、箱入りのお米などをよく見かけます。
一方、お仏壇を持つ家では、初日のウンケー同様、御先祖様と一緒に過ごす一日です。初日(ウンケー)は夕方から御先祖様をお迎えし、三日目の最終日(ウークイ)にはお見送りをするので、ナカヌヒだけが一日中、ご先祖様と共に過ごせる日とも言えます。
ナカヌヒは、一日中ご先祖様と過ごすので、朝食・昼食・夕食の三食をお供えします。主婦は大変そうですね。
朝食・・・朝はまずお茶をお供えします。そして少し経ったら、ごはんとみそ汁、「ウサチ」と呼ばれる酢の物をお供えします。
昼食・・・お昼は家族もゆっくりできるよう、気軽なそうめん(にゅう麺)が定番です。お昼の膳と一緒にお団子もお供えします。
夕食・・・夕食はご飯とみそ汁の他、煮物料理を出すのが定番です。豚の三枚肉の煮つけの他、豆腐や大根、ゴボウなどの煮つけをお供えします。
仏壇のある家のほとんどが、ナカヌヒのお昼ごはんには、にゅう麺か冷やしそうめんを食べているのです!本土出身の私には驚きの事実でした!でも主婦目線で見れば、にゅう麺も冷やしそうめんも楽で助かりますよね(笑)
ウークイは、ウンケーでお迎えした御先祖様が、あの世へお帰りになる日。ウークイの儀礼は夕方以降に行うので、朝と昼はナカビと同じように、ご飯とみそ汁、「ウサチ」と呼ばれる酢の物をお供えします。
夜にはウサンミ(御三味)と呼ばれる、お供え物の重箱料理を食べます。ウンサミには、豚の三枚肉の煮つけや魚の天ぷら、カステラかまぼこや揚げ豆腐、返し昆布や赤かまぼこなどが多いです。また、大根やゴボウを煮付けた料理も良く詰められます。この時に、家族や親族皆で賑やかにウサンデー(お供え物を下ろして一緒にいただくこと。お供え物は果物や白餅)を行い、お見送りとなります。
NHKの連続テレビ小説「ちむどんどん」にも「ウサンミ料理」が出ていましたね!
そして最後に拝みを捧げウチカビを燃やし、ご先祖様をお見送りします。ちなみにウチカビとは「あの世のお金」のこと。ご先祖様があの世でお金に困らないように、ウチカビを燃やしてお見送りします。スーパーなどでは1束150円~200円で売られているウチカビ。あの世ではウチカビ1枚が1万円だとか!
沖縄の御願ではお墓参りや旧盆などウチカビを燃やす事が多いため、ホームセンターや大型スーパーなどに行くと、ウチカビを燃やすための金属製のボールや箸などが販売されています。
実は沖縄のお盆はこれだけではなく、旧暦の7月7日(2021年は8月14日)の七夕の日からお盆は始まっています。沖縄での七夕は、ご先祖様にお盆を知らせるためのお墓参り行事であり、お盆を前にお墓の掃除をして、キレイに整えるための日なのです。ところ変わればですね!
旧盆前には、どこのスーパーでも旧盆商品の販売が始まります。
これは「ガンシナ」。ガンシナとは、ガン→カミ→髪、シナ→シナ→品で、その昔は、女性が頭上運搬する際に、荷物を固定するために作られたものでした。現代の沖縄では、スイカやパイナップルをお仏壇に飾る際に、下に敷く輪として使用され、お盆が近づくと、スーパーなどでよく販売されています。ガンシナは単に、お仏壇の飾りではなく、ウークイに、ご先祖様が ”あの世” にお土産を持ち帰る際に、頭に乗せるためのものだとされています。
お盆にお仏壇にお供えするのは「青バナナ」。本土出身の私は、なんで青いバナナ?と思っていましたが、沖縄は暑いため、お盆の間、黄色いバナナをお供えしていたら、1日でダメになってしまいます。なのでお供え用には青くて固くて食べられない青いバナナをお供えするそう。もちろん時間が経てば黄色く熟れ食べられますが、ご先祖様が帰ってきているお盆の間は、まだまだ青いためご先祖様は食べられないんですね・・・。
黄色と赤の鮮やかな沖縄のかまぼこや・・・
お重に入れる三枚肉の煮つけやごぼうなども単品で売られています。
既にお重にセットされた「お手軽六品セット」も売られていました!
重箱が家にある方はコチラを購入します!沖縄では旧盆のお供え物の他、重箱料理は「奇数」を大事にしています。偶数が忌み数字と言う人もいますが、反対に奇数は縁起が良いとも言われるためです。なので「お手軽六品セット」には、何かをプラスして七品もしくは九品にします。
沖縄の旧盆行事で忘れてはいけないのが地元青年会によるエイサーの道ジュネー(練り歩き)です。 お祭りイベントとして有名になりつつあるエイサーですが、本来は 旧盆の3日間にエイサー演舞をしながら家々を巡るものでした。 いまでも沖縄中部では練り歩きが残っています。 あいにく2020年と2021年の旧盆は新型コロナの影響で青年会による旧盆行事を取りやめたり縮小したりするところが多かったようですが、2023年はどうなるか・・・。 残念ですけど、ご先祖様も「安全第一」ということでお許しくださるのではないでしょうか? エイサー道ジュネーに関する記事はこちらを参照ください。
お盆の一週間後に行われる沖縄全島エイサーまつりはコチラをご覧ください。
かなり簡単ではありますが、沖縄のお盆の行事を紹介させて頂きました。紹介した他にも、とても細かいルールなどがありますが、今回はこの辺で。