まち歩きをするといろいろな発見があります。今回もおきなわスローツアーの高野さんと一緒に那覇のまちを歩いてみました。泊港の方から安里・栄町市場に向かう通りが崇元寺通り。その途中、3連の石門があるのが崇元寺。中国から冊封使を迎え、新琉球国王を承認する前に、諭祭(先王を祀る)を行った場所がこの崇元寺です。
崇元寺は臨済宗の寺で琉球王国歴代の霊廟です。南海の小国琉球王国が栄えていくために、中国との交流を図り、貿易立国として成功を収めます。その交流とは、中国皇帝から琉球国王として認めてもらいます。そのことを冊封(さくほう、又はさっぽう)と言って、その使者冊封使が新王冊封の前に、必ずココに立ち寄ります。先王を祀るためです。
船でやって来る冊封使達は那覇港に到着します。那覇港周辺には天使館と言われる冊封使の宿舎があり、元々一番栄えた場所で明日。その那覇港から、今の美栄橋駅あたりを通って、首里城に向かう道は、元々海の中で、海中道路「長虹堤」が作られます。その終点に当たる崇元寺は、琉球王国を語る時に重要な場所になります。
「アーチ門の上部をご覧ください」と高野さん。単に石門を見ただけでは、この崇元寺石門の歴史はわかりません。おきなわスローツアーの高野純一さんから、教えてもらいましょう。
崇元寺自体は、1470年頃創建といわれ、日本史で言う室町時代(1336-1573)後期にあたります。
元々は国宝として指定されていましたが、沖縄戦で本堂がなくなり、崇元寺石門も破壊されてしまいます。1952年に修復され、現在の石門となりました。後述します下馬碑に1527年に当たる元号が書かれていて、その頃に石門ができたと推察できます。
さて、その円弧型になったアーチ門に戻りましょう。よく見ると横長の石を2枚組み合わせて作られています。
沖縄の世界遺産には5つの城があり、その城と同様の石積みをしているのが、この崇元寺です。琉球石灰岩で相方積みをしている沖縄を代表する石垣です。ちょうどわかりやすい資料がありました。
名築城家ともいわれる座喜味城や中城の城主を務めた護佐丸について展示されている護佐丸歴史資料図書館にあった石積みパズル。崇元寺のアーチ門と全く同じ形になっています。
★沖縄県内初!中城城跡の石積みパズルが楽しめる「護佐丸歴史資料図書館」の記事はこちらです。
琉球王国の霊廟ですから、誰もがここで馬を下りなければなりません。次の写真が「崇元寺下馬碑」です。現在は東側にのみありますが、もともとは西側にもあって、崇元寺の前を馬に乗って通行することはできませんでした。
「あんしもけすもくまにてむまからおれるべし」と書かれていて、つまり、按司(エライ人)も下司(上司の反対、身分の低い人)もココで馬を下りなさいとの意味です。
「あんしもけすも」の文字がはっきり見えますね。「あんし」の部分に2つの穴が見えます。これは沖縄戦の際の弾痕です。こういった弾痕は、あちらこちらに見られるのです。こういった国宝や今では世界遺産に指定される城もすべてを破壊したのが、沖縄戦でした。
ちなみに2020年3月13日、この「下馬碑」の台座部分が赤いスプレーで汚されてしまい、ニュースになりました。現在は元の状態に戻されていますが、なぜこういうことを事をするのか・・・。
崇元寺の目の前にはバス停があります。今では、全員ココでバスを降りなければなりません。なんてことはありません(笑)
さぁ門をくぐって中に入ってみましょう。
ワクワクドキドキ。
崇元寺石門を内部から見るとこのようになっています。実は現在は、中にはお寺は存在しません。高台に上がる2つの石段と広場が崇元寺公園として残っているだけです。
そしてガジュマルの巨木が君臨!感動するくらいの大きさです!
力強く地に這う根っこも凄い!!
崇元寺の創建は沖縄戦の後からですから、このガジュマルも70年以上この場所にあるのです。良い木陰を作ってくれて、交通量の多い崇元寺通りと比べて、静かな憩いの空間です。このガジュマルを見に、中に入ってみてくださいね。
本堂があった場所は、今は何もなく広場になっています。
広場の奥にも大きなガジュマルが。
その広場から横から出たところに、崇元寺公園の表示がありました。
崇元寺公園の表示のすぐ横には、「馬鞭御獄」といわれる拝所があります。この場所は、のちに安里大親の居住地となりますが、ココを通った際に馬がいななき、老人と出会います。中に入ると立派な建物があり、見たことのない光景が見られ、再び訪れる際の目印として馬の鞭を残したことからこの「馬鞭御獄」となりました。ココには不思議な伝説が残っていますが、又の機会にしましょう。第二王統の尚円王の即位を進言した人が安里大親といわれ、その後の琉球王国の霊廟になっていきます。
いかがでしたか?歴史を知れば楽しさも2倍に!まち歩きをガイド付きで楽しんでいきましょう!
住所:沖縄県那覇市泊1丁目9−9