沖縄出身の友人に連れて行ってもらった喜屋武岬(きゃんみさき)。 その友人は、嫌な事があると必ずこの場所に来ていたそうです。確かに嫌な事も忘れてしまうほどの、広い青空と大海原が広がる絶景がありました。そして今回、久しぶりにおぼろげな記憶をたよりに、喜屋武岬に行くと展望礼拝堂が完成していました。
国道331号線を南下し、南部病院前の交差点から旧道に入り、さらに小波蔵の交差点を右に入ります。その先、農道を道沿いに進むと、具志川城跡、そのすぐ先には、喜屋武岬があります。が・・・喜屋武岬に着くまで周りには何もないし、人の気配もしない。果たしてこの道であっているのか少し不安になりますが、看板があるので間違いないと自分に言い聞かせます(笑)
さらにサトウキビ畑に囲まれた一本道を看板の示すとおりに進んでいきます。すると、ひときわ目を引く、大きなモニュメントが見えてきます。
この平和の塔は、1969年(昭和44年)に建立された慰霊碑「平和の塔」。喜屋武岬も含め、沖縄南部は沖縄戦において激戦地でした。米軍に追い込まれた第62師団や一般住民らが、断崖絶壁の喜屋武岬から飛び降り自決した、最後の場所なのです。
以前、友人に連れて来てもらったときは、今にも雨が降り出しそうなどんよりとした曇り空の日。切り立った岩に、絶え間なく波が打ち寄せ、荒々しい海がそこにはあったことを思い出します。 そして今回、前に来た時と明らかに違うのは、青い空と青い海。これぞ沖縄の海、という感じの素晴らしい景色を見る事ができました。
海を眺めているだけで、海の中に吸い込まれそうな感覚に陥り、なおかつ全身を包まれるような壮大な海の大自然を感じます。水平線もとても美しいですよね!
写真奥の突き出たところが、荒崎という沖縄本島最南端の場所。
整備された駐車場と、屋根付きの休憩所。実は、この赤い屋根の休憩所は、海風にさらされコンクリートにヒビが入り、劣化していたため、2020年12月より新しい展望礼拝堂としての建設が始まりました。
そして2021年に完成。屋根の形は、手と手を合わせた祈りの形をシンプルに表現し、平和の塔への軸線に配慮したようです。
平和の塔を意識した動線により、この海岸線の美しさや儚さに気づき思いを馳せるようにと、スロープから展望礼拝堂まで常に平和の塔が見えるようになっています。
喜屋武岬灯台は、先ほどのモニュメントがあった喜屋武岬園地の駐車場から徒歩2分ほどの場所にあります。案内看板によると『~米国によって建設された「荒埼灯台」があったが沖合いを航行する船舶から「光力が弱くて遠方から見えない」と苦情があり海上保安庁が本土復帰後の昭和47年6月に県内初の大型灯台を設置しました~』と書かれていました。
高さ15メートル。昭和47年6月建造。灯台の中では割と新しい灯台ですね!5秒毎に1閃光を発し、船の安全を見守り続けています。但し、上ることはできません。
レーダー施設?
ここ沖縄本島南部は、沖縄戦最後の激戦地であった地域。ひめゆりの塔や平和祈念公園など「南部戦跡」と呼ばれる場所がたくさんあります。その中でも「喜屋武岬」は特に悲劇の場とされている場所です。
今も昔も、素晴らしい景色は変わらずにあったであろう「喜屋武岬」。 私達に色々なことを伝えてくれる場所でした。恒久平和を願う戦跡として、悲惨な戦争の歴史を繰り返しませんように。
住所:沖縄県糸満市喜屋武字喜屋武 駐車場:あり(無料) トイレ:あり