沖縄本島から飛行機で約25分、青い海に囲まれた久米島に、朝の清々しい空気とパンの焼ける香りを届ける場所があります。2023年に誕生したパン屋「ふーちヌーパン」は、地元島民だけでなく、観光で訪れる人々からも「朝の欠かせない楽しみ」として愛されています。「ふーち(風知)」という名には、「久米島に吹く風を感じられるようなパン屋にしたい」という店主の熱い想いが込められています。
店主の酒井佳孝(さかい よしたか)さんは、新潟県出身で2020年に久米島へ移住しました、「ふーちヌーパン」の誕生ストーリーは、非常にユニークかつ心温まるものです。店主はもともとパン屋での修行経験はなく、以前は「サイゼリヤ」で勤務していました。久米島に移住した当時、島内には気軽に焼き立てパンを買える場所がほとんどなく、「それなら、自分で作るしかない」と一念発起したのが始まりです。
パン作りの知識をゼロから独学で習得し、機材を揃え、試行錯誤の末に現在の店舗を開業させました。店主を突き動かしたのは、単なる「パンが好き」という気持ちだけではありません。そこには、「台風で物流が止まっても、この島でパンを作り続ければ、島民の誰かの助けになるはずだ」という、離島特有の課題に対する強い使命感がありました。
実際に、台風が近づくと物流はストップし、スーパーの棚から食料が消えることも珍しくありません。そんな時、島の中で完結する「食」の拠点があることは、住民にとってどれほど心強いことでしょうか。店主が焼く一つひとつのパンには、技術以上の「島への深い愛」と「支え合いの精神」が練り込まれています。お客様ファーストを貫き、納得のいくものだけを届けるその姿勢は、パンの味を通じて食べる人の心にも確かに伝わっていますね!
「ふーちヌーパン」の最大の魅力は、久米島の豊かな自然をパンの中に落とし込んでいる点にあります。メニューの随所に、地元食材へのこだわりと遊び心が光っています。
例えば、久米島の銘菓「みそクッキー」に着想を得た「みそメロンパン」です。生地には久米島産の「満天みそ」が使用されており、メロンパン特有の優しい甘さと、味噌の芳醇なコクが見事に調和しています。一口食べれば、味噌の香ばしさがふわりと鼻を抜け、その後にメロンパンの甘みが追いかけてくる!まさに「久米島だからこそ作れた」一品です。
また、定番の「塩バターパン」も外せません。このパンに使用されている塩は、久米島の海洋深層水から造られたものです。ミネラル豊富でまろやかな塩味が、発酵バターの濃厚な風味を最大限に引き立て、一度食べたら忘れられない病みつきの味わいを生み出しています。
そして「田芋あんぱん」。もっちりとした食感と素朴で優しい甘みの田芋(ターム)のあんがたっぷり詰まった、地元でも評判の絶品パンです。
そのほか、季節のフルーツを使った期間限定のパンや、しっとりともちもちの食感にこだわった食パンなど、メニューは多岐にわたります。早朝から店頭に並ぶこれらのパンは、まさに島人(しまんちゅ)たちの朝の活力そのものです。

出典:ふーちヌーパンInstagram
実はこの日、久米島ご当地グルメスタンプラリーの指定品になっている「うみたまフォカッチャ」が食べたかったのですが、海ぶどうの入荷がなく、食べられませんでした。残念。ちなみに「うみたまフォカッチャ」とは、自家製のフォカッチャに海洋深層水でそたった琉美の海ぶどうを入れた、ふわふわのたまご焼きを挟んだもの。ひとくち食べれば、やさしい卵の甘みと、海ぶどうの塩味&食感が絶妙にマッチするそうです!もし機会があればぜひ!
店内にはイートインスペースがあります!
塩バターパンと田芋あんぱん、そしてコーヒー。久米島での美味しい朝食をいただくことができました!
店内の一角には、お店のロゴや可愛らしいイラストがあしらわれたTシャツやトートバッグなどのオリジナル雑貨も並んでいます。
温かみのあるデザインのグッズは、お土産としてはもちろん、久米島旅行の思い出として自分用に手にする方も多く、お店を訪れる楽しみの一つとなっています。
ふーちヌーパンのすぐ目と鼻の先にある、島でも屈指の人気を誇る沖縄そばの名店「やん小~」のTシャツも売られていました。
店内で提供されているコーヒーは、島内でも評価が高い「マキノ珈琲」のオリジナルブレンドです。焙煎人である牧野さんが手掛けるこのコーヒーは、芳醇な香りとしっかりとしたコクが特徴で、パンの風味を邪魔することなく、むしろお互いの美味しさを引き立てる名コンビとなっています。
興味深いのは、このマキノ珈琲とのコラボレーションが、久米島のコミュニティの繋がりから生まれている点です。かつて空港の「風人カフェ」で提供されていたオリジナルブレンドを、オーナー同士の縁もあり、ふーちヌーパンのモーニングタイム(7時〜11時)でも楽しめるようになりました。ふーちヌーパンに行けば、朝の焼きたてパンと共にその一杯を味わうことができます。
お店を出て右に鳥島漁港向けへ進んだ右手脇に専用の駐車スペースが確保されています。駐車場はやん小〜と共用で、店を出て右手海側に向かってすぐです。信号の手前なのですぐわかります。レンタカー専用の駐車スペースには置かないようにご注意ください。
美味しい焼きたてパンの香りと、島の人々の温もりに包まれる「ふーちヌーパン」。朝の清々しい空気に包まれながら味わう一品は、久米島での時間をより一層特別なものにしてくれます。周辺には沖縄そばの名店「やん小~」もあり、食を巡る島歩きを楽しむのにもぴったりのロケーションです。久米島を訪れる際は、ぜひ足を運んでみてください。きっと、ここでしか出会えない最高の朝と、心に残る温かい島時間があなたを待っています。
◆久米島・沖縄そばは「やん小~(やんぐゎ~)」!久米島産にこだわった食材!の記事はコチラです。
住所:沖縄県島尻郡久米島町仲泊511−2 営業時間:AM7:00〜PM14:00