沖縄にはかつて「軽便鉄道(けいびんてつどう)」と呼ばれる電車が走っていました。那覇から嘉手納・糸満そしてここ与那原の3方面に敷設された路線網です。一般の鉄道よりも軌間の小さなその鉄道は「ケイビン」「ケービン」の愛称をもって沖縄県民の生活と経済を支え続けてきました。
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大正〜昭和初期には南部の糸満から中部の嘉手納を結び物資を輸送する『軽便鉄道』が走っていました。本土で走る汽車より一回り小さな鉄道だったので、軽便 (ケービン) と呼ばれていたそうです。その後、1922年に嘉手納線、1923年に糸満線が開業します。
1914年、那覇―与那原間で営業を開始した当時、与那原駅舎は木造で、1931年に県営鉄道の駅としては初めて、鉄筋コンクリート造りに建て替えられました。
しかし沖縄戦の戦禍により破壊され、壁や柱の一部だけが無残な形で残され、鉄道も廃止されました。そして未だに沖縄に鉄道は走っていませんが、軽便鉄道の開通100周年を迎えた2014年に旧与那原駅舎は『軽便与那原駅舎・資料館』として復元されました。
資料館の入り口には、与那原馬車スンチャー(馬車引き)をモデルにしたという『三郎オジー』がお出迎え。『三郎オジー』の隣に座り記念撮影もできます!
そもそも軽便鉄道は全部で3路線ありました。
一つは那覇駅から嘉手納駅までを繋ぐ「嘉手納線」。次が那覇駅から糸満駅までを結ぶ全長約18.3㎞の「糸満線」最後が軽便鉄道与那原駅資料館のある与那原町がメインとなる「与那原線」。与那原線の全長は3路線の中で最も短い9.4㎞だったそうです。
現在も軽便鉄道が残っていたらとても便利だったことでしょう。2012年頃よりが、沖縄県では、沖縄本島を縦貫する那覇~名護間に鉄道を敷設する計画があります。が、開業時期などはまったく未定です。
資料館は軽便鉄道の『歴史コーナー』『映像コーナー』『資料コーナー』『体験コーナー』に分かれていて、そんなに広くない施設ではありますが、昭和5年頃の与那原駅舎界隈のジオラマは必見です。
体験コーナーでは駅員さんの帽子を貸してくれる撮影コーナーがあるので、ぜひ記念に写真を撮りましょう!
昔ながらの機械で入場券代わりの硬券切符に印字したり、スタンプを押したりもできます。
そして切符切りも体験できるんです!昔から一度やってみたかったんです。今は自動改札が多いので、ほとんど見かけないので、お若い方はピンとこないかもしれません。自動改札の無い時代には、ものすごいスピードで切符を切る駅員さんが改札口に立っていたのも今となっては懐かしい光景です。
他にも、独自コンテンツの「与那原軽便物語」を映像で観ることができます。じっくりと観れる40分版、短縮されたダイジェスト版なら17分、そしてキッズ向けの20分版があるのも嬉しいですね。
以前、与那原駅の裏側にプラットホームがあったそうです。もちろん今は跡形もありませんが、現在は9本のボロボロの柱が並んでいます。
この柱は貴重な沖縄戦を生き抜いた駅舎の柱で、旧与那原駅舎の遺構になります。建て替えにあたって一部だけが保存されています。
そして昭和天皇が大正10年の皇太子時代、欧州周遊の際に沖縄に立ち寄られました。その時にここ与那原駅からお召列車に乗り、那覇を訪問したそうです。与那原駅舎には、東宮殿下御乗車記念碑が建立されています。
「沖縄鉄軌道計画」がいつの日か実現するといいですね!
☆与那原町立 軽便与那原駅舎展示資料館のホームページはコチラ
☆名護のネオパークは軽便鉄道復活と希少な動物たちが一杯!の記事はコチラです。
住所:沖縄県島尻郡与那原町与那原3148-1 ☎098-835-8888 営:10:00~18:00 火曜定休