2000年12月、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」が日本で11番目の世界遺産として登録されてから、2025年で25周年の節目を迎えました。この記念すべきアニバーサリーイヤーを祝し、沖縄を代表する六つの城郭(グスク)が手を取り合った特別な企画「沖縄グスク巡り御城印」が、いよいよ2025年12月24日より一般発売されます。
今回の記念事業で発行される御城印は、世界遺産に登録されている5つのグスクに、琉球王国の形成過程において極めて重要な役割を果たした日本遺産の「浦添城跡」を加えた、計6種類のラインナップです。単なる記念符の枠を超えた、コレクション性の高い仕掛けが施されています。
右:首里城跡(那覇市・世界遺産):琉球王国の政治・外交・文化の中心。
左:浦添城跡(浦添市・日本遺産):首里以前の王都であり、初期琉球王国の中心地。
右:勝連城跡(うるま市・世界遺産):阿麻和利の居城として知られる、優美な曲線を描くグスク。
左:中城城跡(北中城村、中城村・世界遺産):護佐丸によって築かれた、類まれな石積み技術を誇る名城。
右:今帰仁城跡(今帰仁村・世界遺産):北山王の居城であり、長く連なる「百まがり」の城壁が見どころ。
左:座喜味城跡(読谷村・世界遺産):読谷山の領主・護佐丸が築いた、堅牢かつ美しい城壁。
今回の御城印の最大の目玉は、「6枚を横に並べると一つの大きな絵が完成する」という完全連結仕様です。 デザインには、沖縄の伝統工芸である「紅型(びんがた)」の色彩や意匠が取り入れられており、各グスクの城壁の曲線や、沖縄の空・海、そして歴史の流れを表現した美しい風景が浮かび上がります。各地のグスクを巡ることで、まるで一枚の琉球絵巻を完成させるような旅の楽しみを提供してくれます。
こちらは、座喜味城と中城城で購入できる護佐丸の御城印。護佐丸はすぐれた建築家でもあり、読谷村にある座喜味城(ざきみじょう)は、石畳の技術が光る城として知られ、中城城(なかぐすくじょう)は、北中城村・中城村にまたがる、自然の岩山を利用した堅牢な城。これらは現在、ユネスコ世界遺産に登録されています。彼が築いた城(グスク)は、今もその美しい曲線美を保っています。
この御城印は、座喜味城(右)と中城城(左)でそれぞれ販売されており、右の座喜味城では若いころの護佐丸が描かれ、左の中城城では、中城城に移り按司をしていたころの護佐丸が描かれています。この二つを購入し揃えると、護佐丸の子孫にあたる毛氏の家紋(真ん中に押されています)を押すことができるので、お城巡りの楽しみになりますね!
世界遺産座喜味城跡ユンタンザミュージアムのHPはコチラです。
◆世界遺産座喜味城は築城王の護佐丸が築いた見事なアーチ門と曲線美!の記事はコチラをご覧ください。
◆中城城跡から見る沖縄の歴史、世界遺産に黒船ペリーもやってきた!の記事はコチラをご覧ください。
◆沖縄県内初!中城城跡の石積みパズルが楽しめる「護佐丸歴史資料図書館」の記事はコチラをご覧ください。
12月20日、21日に神奈川県のパシフィコ横浜ノースでの「お城EXPO2025」で先行販売された首里城の御城印。
座喜味城の御城印帳も素敵ですね!座喜味城は高台にあって、城壁の間から東シナ海に沈む夕日の絶景ポイントでもあります。また、初日の出の絶景ポイントでもあるんです。
御城印の素材は、沖縄県産の「月桃」を原料とした和紙が使われています。独特の風合いと柔らかな質感があり、沖縄の自然を感じさせる素材です。そして各御城印には、そのグスクの歴史的背景や見どころを解説したカードが付属しており、歴史愛好家だけでなく初めて訪れる方にも親しみやすい内容となっています。価格は1枚 500円(税込)で、各グスクに関連する施設にて2025年12月24日より販売されます。
沖縄本島の初日の出スポットはココで1年の始まりを迎えよう!おすすめ5選!の記事はコチラです。
近年、お城巡りの楽しみとして定着した「御城印(ごじょういん)」ですが、そもそもどのような背景から生まれたものなのでしょうか。御城印とは、城跡や城郭を訪れた際の「登城記念証」のことです。 そのルーツは、寺院や神社で参拝の証として授与される「御朱印」にあります。1990年頃に長野県の松本城などで始まったとされていますが、本格的なブームとなったのは2010年代後半からです。
御朱印との大きな違いは、宗教的な意味合いを持つものではなく、あくまで「観光や歴史学習の記念品」であるという点です。そのため、基本的にはあらかじめ印刷された紙(置き書き)を購入するスタイルが主流です。紙には城の名前が中央に記され、背景にはその城主の家紋や、城のシンボルとなる意匠が朱色などで押されています。
御朱印と同様に沖縄らしい御城印帳も売られているので、ついつい集めたくなっちゃいますよね!
6つの御城印を揃えた時、目の前に広がるのは単なる風景画ではなく、かつて大海原を舞台に交易を広げた琉球王国のエネルギーと、それを守り継いできた人々の想いです。この冬、御城印帳を手に、美しい曲線美を描くグスクの石垣を巡ってみてはいかがでしょうか。