沖縄の中高生による奇跡の舞台といわれる現代版組踊『肝高の阿麻和利(きむたかのあまわり)』。2000年に始まり23年間もの間続いており、すべてうるま市の中高生が行っているロングラン公演です。これまでの観客動員20万人、公演回数346回という恐るべき舞台!その「肝高の阿麻和利」の東京公演が8月に開催されます。
■開催日時
2023年8月20日(日)
【1回目】12:00 開場/13:00 開演
【2回目】17:00 開場/18:00 開演
2023年8月21日(月)
【3回目】10:00 開場/11:00 開演
【4回目】14:30 開場/15:00 開演
※4回目のみ開場時間30分となっております
※上演時間:2時間40分(途中休憩あり)
■会場:文京シビックホール 大ホール(東京都文京区春日1丁目16−21)
■入場料(全席指定)
特別席 5,000円 1階 舞台寄り前方エリア
S席 4,000円 1階 両サイド・後方エリア
A席 3,500円 2階 前方エリア
B席 2,500円 2階 中段から後方エリア
※車いす席をご希望のお客様は、予めお問合せください。
※エリア指定のみ可能となっております。お座席の指定はできません。予めご了承ください。
※3歳未満は、膝上鑑賞に限り無料。(お席が必要なさいは、チケットをご購入ください。)
■チケットに関するお問合せ:098-983-0144(平日10:30~18:00)
沖縄県うるま市の中高校生が出演している現代版組踊「肝高の阿麻和利」は、沖縄に古くから伝わる伝統芸能「組踊」をベースに、現代音楽とダンスを取り入れて、勝連城10代目城主「阿麻和利」の半生を描く、いわば「沖縄版ミュージカル」のようなものです。
写真のシーンは阿麻和利が勝連の浜にたどりつき、地元人に担がれて、悪政を行う望月按司を追放していくところ。よく見るとあどけなさが残る中高生たちがいきいきと演じています。この舞台に立っているメンバーは全員がうるま市の中高生です。
この『肝高の阿麻和利』は、小中学校の校長まで務め、勝連町教育委員会教育長をされていた故上江洲安吉先生が発案し、そのプロデュースを平田大一さんに依頼したのがはじまりです。
◆現代版組踊「肝高の阿麻和利」東京公演を控える平田大一さんの記事はコチラです。
その時の条件が3つ。①出演者は中学生に限定 ②阿麻和利の名誉挽回を図る ③勝連地域の伝統芸能を取り入れた舞台づくりを目指して欲しいというものでした。
中学生に心の教育をすること、地元の文化や歴史を伝えたい気持ちがこの舞台を作り上げられました。事実、この舞台を通じて仲間が出来、みんなで作り上げていく団結心も芽生え、子供達の居場所を作り上げていると同時に、地元の歴史的背景、文化などが身についてきます。
見事な女性アンサンブル。序盤の華やかさを魅せる重要な場面です。そしていい笑顔です。
この『肝高の阿麻和利』は、現代版組踊と言われています。組踊とは、せりふ・音楽・踊りで構成される歌舞劇のことで,形式的には能・狂言や歌舞伎に近いですが、せりふに沖縄の古語、音楽に琉球音楽、踊りに琉球舞踊を用いるのが特徴です。 もちろん音楽の演奏も中高生による生演奏です。
2019年、組踊が誕生して300年が経ちました。もともとは、玉城朝薫が琉球王より組踊奉行を任ぜられ、中国から琉球王の任命のためにやって来る冊封使を歓待するために作られたのが組踊です。
組踊は台詞、舞踊、歌・伴奏の大きく3つに分かれて演じられます。この現代版組踊は「役者チーム」「女性アンサンブル・男性アンサンブル」「きむたかバンド」と役割が分かれます。
1972年、組踊は我が国の優れた芸能の一つであるとして、国の重要無形文化財に指定されました。また、2010年にはユネスコの無形文化遺産となり、世界的にもその価値が高く評価されています。
故上江洲安吉先生が平田大一さんにプロデュースを依頼した時の2つ目の条件に、「阿麻和利の名誉挽回を図る」というものがありましたが、これはどういう意味でしょうか?
世界遺産・勝連城跡に行って勝連城10代目の城主(按司)「阿麻和利」の名前に出会いました。同じ世界遺産・座喜味城、中城城主となった護佐丸を討ち、首里城にいる琉球王尚泰久へ攻めていく逆賊のイメージが出てきます。
しかしながら、勝連城主と血縁関係もない阿麻和利が城主になれたのはなぜか?悪政を働いていた望月按司を地元の人達と追放し、阿麻和利は勝連城10代目の城主になっています。善政を行い、日本と交易を行うことで経済力を持ち、勝連の町を豊にしていきます。そんな英雄としての評価が高い「阿麻和利」を、「肝高の阿麻和利」という組踊を通して表現してほしいというものだったのでしょう。
地元の英雄を地元の子供達が演じることで、地元に対する愛が生まれてくるのでしょう。田舎へ行けば行くほど、地元にはなにもなく、大人になったら地元を離れて戻ってこないケースがどこへ行っても一般的ではないでしょうか。
しかし「肝高の阿麻和利」に参加したメンバーが、卒業しても公演のサポートをしたり、PRを各地で行うなど、その絆は深いものがあります。
「阿麻和利」は、護佐丸の子達によって敵を討たれる形になりますが、部下達には、攻めてくる王国軍に対し無駄に命を捨てるなとメッセージを残していきます。
素敵なシーンですね。
沖縄の伝統を伝えたい、子どもたちの居場所を作りたい、この思いからできたのが「肝高の阿麻和利」。その中には地元各地区に伝わる伝統芸能を各所に取り入れてあります。
地元の伝統芸能の一つ「平敷屋(へしきや)エイサー」を演じている男性アンサンブル。「平安名のテンテンブイブイ」など勝連の各地域に伝わるものをすべて取り入れています。
写真は感動のフィナーレです。中高校生たちが、活き活きと歌って踊る「一所懸命ってかっこいい」姿を見ると感動を呼びます。そんな『肝高の阿麻和利』を是非見てもらいたいものです。
2019年の8月10日は茨城県小美玉市での公演、そして8月12日には東京公演と県外公演が行われました。
8月12日の東京公演に行こうとチケットを購入するも、何とか取れた席は3階席の端の方でした。当日は昼、夜の公演共に満席。沖縄の中学生、高校生の舞台としては、まさに「奇跡の舞台」といっていいのではないでしょうか。
内部の写真撮影は禁止のため、開場前の東京国立劇場です。かなりの方が開場を待っている状態でした。
中学高校生達が、郷土の英雄「阿麻和利」を理解して、全力で演じる躍動感は文字だけでは表しきれません。現代版組踊「肝高の阿麻和利」の公式サイトで2018年卒業公演の動画がありますので是非ご覧ください。本物を見るとその迫力が増してきます。
◆現代版組踊「肝高の阿麻和利」の公式ページはコチラです。
参考資料:きむたかの翼 上江洲安吉著
後記:最初、東京を中心に活動する「沖縄ファンクラブ」の総会に平田大一さん、OBで現在演出を手がける蔵當慎也さん、OB、OG達のみなさんに来ていただいてその一部を披露していただいたところからの出会いです。私自身、東京国立劇場で見ただけで、まだまだその奥深さに気がついていないところも多いと思います。しかしながら、その感動は、中高生が一生懸命に演じる姿を見れば誰もが味わえることではないでしょうか。そして、毎年、卒業生が出て行き、新しい子供達が入ってきます。また、進化していく『肝高の阿麻和利』を楽しみにして行きたいものです。本当に「一生懸命はかっこいい」ですね。
TOP写真提供:あまわり浪漫の会 東京国立劇場『肝高の阿麻和利』より
住所:東京都文京区春日1丁目16−21