首里城は今、復興に向けてどんどん進んでいます。首里城正殿の再建のため、木材加工場、原寸場はすでに完成して、2023年には正殿を屋内で作れるように巨大な素屋根が出来、2026年秋には正殿が完成します。現在の首里城の様子をレポートしてありますので、首里城復興に向けて確実に進んでいる現在の様子をご覧ください。
目次
首里城正殿の建設工事は建物の中で行われます。その仮設の建物が素屋根です。骨組みができはじめて、いよいよ正殿建築に向けて動いてきたことがわかります。
火災により破損した首里城正殿の柱の「礎石(細粒砂岩)」を、新たな正殿の「うるし塗りの原料”ニービ(細粒砂岩)の粉”」に再利用するため、鉄柱を用いて砕いていきます。ごますりのように擦って粉にしていきます。
約10分の作業です。石はそんなに硬くなく、小学5年生以上なら誰でも参加することが出来ます。
2023年7月21日から8月31日まで実施しています。
首里城 うるし塗り原料”ニービの粉” 製作ボランティアの詳細はコチラです。
木材倉庫に描かれた首里城正殿の巨大壁画が、2022年12月23日公開されました。高さ約12メートル、横約40メートルあり、奉神門を入ると正面に見ることが出来ます。奉神門は、しばらく左側の入り口を使っていましたが、これにより従来通り正面の入り口を使うようになりました。
残念ながら、私が行ったときは原寸場の作業を終えていました。原寸大の図面を書いている姿が、見ることが出来るようになりました。
この4本の木は正殿正面に使用する向拝柱です。現在8角形ですが、削っていって円形の柱になります。
木材倉庫には木曳式に使われた県産木材オキナワウラジロガシをはじめ、国産ヒノキなどが、運び込まれてきて正殿復元に向けています。
木材倉庫、原寸場、加工場には通常入場することは出来ませんが、時折見学ツアーを企画するそうです。写真は起工式の行われた11月3日に実施された見学ツアーで撮影しました。
首里杜館1階の休憩所に設置されたストリートピアノ。毎日10時から17時、首里城の復興を願って誰もが自由に演奏することが出来ます。琉球手まり保存会の宮城玲子代表が首里城復興に役立たせて欲しいと寄贈されたものです。
ピアノに描かれたリスとブドウの絵は、沖縄県立芸術大学の学生によって、琉球漆器の技法で加飾されました。たわわに実ったぶどうと、子をたくさん産むとされたリスは「多産多福」の象徴です。
首里城復興祈願として泡盛の一石甕が寄贈されました。2022年12月17日に、全45泡盛酒造所の1升瓶×2本が一石甕の中に入れられており、一石甕、泡盛、甕の蓋を覆う紅型、琉球石灰岩製の台座は県内4社の企業によって寄贈されました。
2026年正殿が完成する際に振る舞い酒とされるとのことです。
首里城正殿が再建されるまで、「首里城祭」は「首里城復興祭」として開催されることになりました。
11月3日に実施された琉球王朝祭り首里「古式行列」は、奉神門から守礼門まで、国王・王妃をはじめとする琉球王朝時代の行列です。
首里城正殿に使用される御材木は、国頭村から運ばれてきました。その際、木遣行列として、旗頭やみるく様たちも参加して行われました。
「見せる復興」を銘打ち、ガラス張りの見学エリアが2022年10月1日オープンしました。
このガラス越しに正殿復興のために作業している姿が見られるようになります。
大型モニターが設置されて、詳しい解説が行われています。
木材を加工する際に使用する実物大の図面を描くための原寸場(げんすんば)です。実際に作業がはじまると、図面を書く場所なので、上の写真のように材木が置かれることはありませんが、現在は展示されているとのことです。
中2階になっていて、奥の下が1階で、柱や梁の加工場。奥の上が2階で、木材を乾燥、保管、管理する木材倉庫として使用されます。
原寸場の左側が、ガラス張りの見学エリアになります。
木材を加工する際に使用する実物大の図面を描く場所が、原寸場です。複雑な形に加工された部材を正確に組上げることが出来ます。
正殿の復元に用いる木材を大小様々な形の部材に加工する場所です。原寸図などをもとに部材の切り出しを行います。
北殿予定場所の外側に見学デッキ通路があるため、非常に眺めが良いポイントになりました。那覇市内から慶良間諸島まで一望できる絶景ですね。
さて、原寸場と木材倉庫・加工場ができたあとはどうなるのでしょうか?
工事中の正殿を覆う仮設の建物が素屋根です。この大きな屋根により天候に関係なく工事を進めることが出来ます。内部の天井には複数のクレーンが設置されて、木材をはじめ様々な資材が効率よく運搬することが出来ます。2023年に整備される予定です。
次はこの位置に素屋根が立てられて、その中で正殿が建てられていきます。
公開は2022年5月22日までで終了しました。
公開されている首里城の遺構は、実はほんの一部であって、壁側(右側)の基壇が第二期の基壇が15世紀の第一尚氏時代のもので、写真中央の基壇がそのあとに出来た第三期の基壇です。さらに左へ(奉神門側へ)第四期、第五期、第六期、第七期と公開されていない基壇があります。次第に西側に規模を大きくしていった証拠です。少なくとも7回の建て替えが考えられています。第二期の基壇には当時起きた火災のあとが見受けられます。
世誇殿は大型スクリーンで首里城の解説をしています。休憩室も兼ねた場所で、自動販売機があります。元々、未婚の王女の居室で、国王が亡くなると次期国王の即位の儀式が行われた場所です。
世誇殿の中には4K18面のモニターが設置されていて、首里城の歴史や遺構の解説などの映像が流されています。
首里城復興展示室は2020年10月に作られました。トイレはコチラにあります。
火災前まで奉神門の屋根に実際にあった屋根瓦です。
これも実際に正殿にあった獅子瓦です。先端の四カ所(前面・後面)にあった獅子の飾瓦の一部。
東のアザナから見た世誇殿や女官居室、その向こうには奉神門がありますが、木材倉庫・加工場で見えなくなりましたね。首里城の中では標高140mと一番高いところにあり360度景観が楽しめる場所でもあります。城壁の曲線美とあわせて楽しんでください。
塗り直しをしていた漏刻門も完成しました。奥に建設中の原寸場が見えますね。
現在のところ、2026年中に正殿が完成する予定です。その後、北殿、南殿、書院や鎖之間などの工事に入ります。最終的に全てが完成する予定は発表されていませんが、2030年頃になりそうですね。
正殿遺構、世誇殿(よほこりでん)、東(あがり)のアザナのある場所が有料区域になります。大人400円、高校生300円、小中学生160円と以前の約半額で見学することが出来ます。今まで通りで良いから、復興に向けた募金に充当するなんてこともありではないでしょうか。
年間パスポートは800円ですから、何度も足を運ぶのもいいですね。
守礼門、園比屋武御獄石門、首里杜館広場は時間に関係なく開いています。3番の歓会門から先は、夜は閉まっています。歓会門の開門は8:30、奉神門の御開門(8:55からガイドの案内があって9時開門)、首里杜館は8:30~18:00
※コロナの影響で営業時間、開門時間に変更が出ています。状況によっては営業時間が本来の時間に戻される可能性がありますので、お出かけの際には、首里城公園HPを確認してください。
これは那覇の観光に長く携わっている地元のおじさまが言ってた印象的な言葉です。
「他の観光施設が燃えても行かないよね。でも首里城は行くんだよ」
県民にとっても、観光客にとってもそういう場所なんですね。
首里城正殿前に向き合ってっていた大龍柱。火災に遭っても倒れずに残っていました。それでもひび割れなど損傷が激しく、修復作業を行っていました。この大龍柱は新たに製作するための見本となり、歴史的遺物として展示されていく予定です。
正殿正面にあった大龍柱は、下之御庭のこの仮設作業小屋におかれています。
御鎖之間(おさすのま)で行われていた呈茶サービスは、券売所がある下之御庭の系図座・用物座で提供されています。花ぼうる、くんぺん、ちんすこうなどの宮廷菓子4品と三品茶がついて500円です。
毎朝8時55分から、御開門の儀式が行われます。ドラの響きと「うーけーじょー」の声で、門が開きます。門番の方たちと記念写真も撮れますので、ご一緒にいかがですか? 一番乗りもいいもんですよ。
御開門式の前に首里城についての説明があります。奉神門の瓦の葺き替えも終えて首里城の復興も一歩一歩進んで来ていますね。
首里城で毎朝行われる御開門式、うけーじょー!の記事はコチラです。
ライトアップは日没後から24時まで毎日開催。
・主な見学ルート:
奉神門(御開門式見学)→首里城正殿基壇遺構→世誇殿→大龍柱→京の内→西のアザナ
・開催曜日:毎朝
・開催時間:8:45 ー 9:45(受付 8:30-8:40)
※午前8:55の御開門式を見学する朝のみのコースです。
◎定員
各回5人
※1グループ10人までは参加可能です。
◎料金
1人1,000円(小学生以下無料)
※入場料は別途必要です(年間パスポートOK)
◎受付
場所:首里杜館(すいむいかん) B1F 総合案内所附近
※受付はツアー開始5分前には終了いたします。時間に余裕を持ってお越しください。
※お車の方へ:受付場所は駐車場と同じ建物です。駐車場からB1Fへ上がり、総合案内所前にお越しください。
※事前予約は行っておりません。
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ユネスコ側からは世界遺産の登録抹消はない、と声明がでているようなので一安心ではありますね。 もともと正殿が世界遺産だったわけではなく、その下の「遺構」(=正殿下の石の土台など)が遺産登録されているので問題ないという判断なのでしょう。
この写真は火災前の写真。最初に出した遺構公開の写真は同じ場所であるにもかかわらず、黒く焼けた跡があるのがよくわかりますね。
首里杜館(8:30から18:00)もあいています。首里杜館の建物の下は駐車場になっていて、こちらの利用もできます。
首里杜館駐車場は、守礼門に一番近く最も便利な駐車場だけに、土、日には入場待ちが出るときもあります。
「御城印」は、首里城の他、勝連城、今帰仁城、中城、座喜味城の5つの城で販売されています。
首里城に関する書籍や資料は販売されています。
首里城記念メダルセット。
シーサーの置物。
琉柄キャップはかっこいいですね。
トートバックや首里城Tシャツなど。
是非、チャレンジしてもらいたいペーパークラフト。首里城に関するお土産だけでも見ていて飽きないですよ。
沖縄タイムス社から衝撃的な本が出ました。
マーコの個人的な見解ですが、この首里城火災を表紙にするところが沖縄らしいなって思います。内地だったら多分、想い出に残したい綺麗な首里城を表にして「首里城永遠に」とかしそうですが、真実のありままに憚らずに出すというのが沖縄らしい、と。前に進む為につらい現実でも受け止める姿勢と言うのを感じます。中身も素晴らしい写真が詰まっています。
88ページオールカラー 本体価格1000円(税別)です。
首里城炎上のニュースを受けて多くの方が募金やチャリティライブなどの活動を行っています。首里城の近くに住んでいる人は特に日常あるものがなくなった喪失感があることでしょう。沖縄の象徴でもある首里城の復興を願ってやみません。
首里城は復興に向けて進んでいます。そして、首里城に足を運ぶことが、周辺の飲食店や土産物店など首里城周辺で働く人々も含めた首里城再建につながると思います。
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