那覇市壺屋にある「壺屋やちむん通り」。今回は、おきなわスローツアーの高野純一さんのガイドで、一緒にゆったりと壺屋やちむん通りを散歩をしながら、沖縄の暮らしを知る事ができるまち歩きに参加して来ました。もっと沖縄が大好きになれる楽しめるまち歩きツアーでした。
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今回ガイドをしていただく「おきなわスローツアー」の高野さんとの待ち合わせの場所は、国際通りにあるてんぶす那覇。「てんぶす」とは、うちなーぐちで「へそ」を意味し、てんぶす那覇の場所が、1マイル(1.61キロ)ある国際通りのほぼ中央に位置することから名付けられました。
まずは、平和通りのアーケードを歩きながら壺屋やちむん通りを目指し、その途中でも沖縄らしいお店やある場所の由来を教えてもらいながら歩いていきます。
おきなわスローツアーガイドの高野純一さんが書いた、壺屋やちむん通りのイラストです。味がありますね!
壺屋やちむん通り入り口にある、シーサーに挟まれたやちむんでできた壺屋マップ。マップをよく見ると、やちむん工房以外にも色んな情報が記載されています。「○○ガー」や「○○ヌカー」ってなんだろう???そもそも、やちむん(沖縄の伝統的な焼物)がなぜ壺屋で盛んだったのか?この謎を一緒に解いていきましょう。
壺屋焼き物の歴史は古く、1682年、第11代尚貞王の時代には、沖縄市知花・首里の宝口・那覇市の湧田の三箇所にあったやちむん窯を那覇市壺屋に統合させ、王国をあげて陶工の養成や陶器産業の復興に力を注ぎました。壺屋は良質の土や水が豊富で、港にも近く、燃料や特殊な土なども入手しやすいという好条件から、壺屋やちむんの里として発展していきました。
壺屋焼きは、琉球随一の窯場となり、交易や江戸上りの際、江戸幕府への献上品である泡盛を入る陶器などにも利用されていました。
上記写真は「北ぬ宮(ニシヌメー)」。場所は、壺屋焼物博物館の上にあり、階段を上がっていくと大きなガジュマルやクバ・クロツグに覆われ、少しふわっとした雰囲気に変わる空間が「北ぬ宮(ニシヌメー)」です。
「北ぬ宮(ニシヌメー)」は、壺屋の拝所の一つで、「北」はうちなーぐちで「ニシ」と言います。昔はこの場所に北ぬ窯(ニシヌカマ)がありました。お宮には土地の守り神である「土帝君(トーテークン)」と共に、焼物の神様が祀られています。その昔は、陶工やその家族が多く拝んでいましたが、現在は焼物の関係者だけでなく、壺屋の地域発展や祈願のために拝みにきてる人々もいます。(※注 拝みにくる方の邪魔にならないよう見学しましょう)
沖縄の方言では東西南北を東(アガリ)・西(イリ)・南(ペー、フェー)・北(ニシ)と言います。聞くだけでは勘違いしちゃいそうですよね。
沖縄・漢字の読み方を知ってる?ニシが北?知れば知るほど面白くなる風編!の記事で、もっと詳しく書かれています。
細いすぅ〜じぐゎ~(脇道)を歩いて、南ぬ釜(フェーヌカマ)を見て見ましょう。南ぬ釜(フェーヌカマ)は、壺屋で有名な登窯(のぼりがま)です。
近くには同じ名前のカフェもあり、ゆったりできる人気スポットです。この場所でこのアングルで撮影した方も多いはず!
壺屋焼には主に荒焼(アラヤチ)と上焼(ジョーヤチ)の2種類あり、荒焼は釉薬を掛けない陶器や泥釉をかけた陶器の名称です。約1120度で焼き締められ、水甕や酒甕(琉球南蛮焼など)、魔除けのシーサーなどを焼いています。
上焼は釉薬をかけて焼き上げる陶器の総称です。焼き上げた陶器はお椀やお皿、独特な形をした泡盛を入れる抱瓶(ダチビン)など様々なものがあります。描かれる柄は魚・海老・唐草・菊_梅・牡丹といっためでたい物が多く現在では可愛らしい柄のやちむんも増えてきました。この南ぬ窯は、荒焼窯として使われ平成8年まで現役で使われてうたそうです。東ぬ窯は上焼窯として使われていました。
沖縄県文化財にも指定されている南ぬ窯。周りには細長い壺がたくさん置かれています。さて、この壺には、どんな物を入れていたのでしょうか…?
答えは骨壺でした。びっくりですね!
壺屋やちむん通りには、「骨壺専門店 高江洲」という骨壺専門店もあります。
沖縄戦後 沖縄本島全土が焦土化した中、壺屋地域は比較的被害が少なく焼窯があったことから、沖縄で一番早く復興し市場や役所、娯楽施設が増え、現在の公設市場や国際通りができたきっかけを作りました。しかし周囲が市街地のため、薪窯による煙害が深刻な問題となり、那覇市は公害対策のため薪窯を禁止。伝統的技法をが使えず壺屋焼は岐路に立たされます。そこで周辺に良質な陶土が豊富な読谷村が窯元の積極的な誘致を行い、人間国宝の金城次郎氏を初め多くの陶芸家たちが壺屋から読谷村に移りました。 現在では「読谷やちむんの里」として多くの人々が訪れる観光地となっています。が、ここ壺屋にも多くの窯元が残り、この一角が壺屋やちむん通りと呼ばれるようになりました。
南ぬ窯(ふぇーぬかま)を過ぎ、細いすぅーじぐゎーをぶらぶら。まっすぐなみちではなくゆるやかなカーブが多いみたい。壺屋やちむん通りを歩いたことがあるみなさんは、気づきましたか?
昔ながらの沖縄の道が直進でなく、くねくねとした道なのは、道の角でみかける「石敢當(いしがんとう)」に関係があるんです。
沖縄では、この石敢當が魔除けとして三叉路やT字路にあります。市中を徘徊する魔物(沖縄ではマジムンと呼ぶ)は、直進しかできないと言われており、道の曲がり角やT字路、Y字路の角も、彼らは曲がることができません。そのため、このような曲がり角には、魔物が溜まりやすい場所として恐れられていました。しかもT字路や三叉路などの突き当たりにぶつかると、マジムンが向かいの家に入ってきてしまうと信じられているので、丁字路や三叉路などの突き当たりに「石敢當」を設け、魔物の侵入を防ぐ魔よけとしているんです。ちなみにマジムンは石敢當に当たると砕け散るそうです。同じように、道がまっすぐではないのも、実は沖縄の道も魔除けにつながっているのです。
石敢當の上にある謎の石顔。これも魔除け???壺屋は不思議ゾーンがいっぱいあるパワースポットなんです。
◆ 沖縄でよく見かける「石敢當(いしがんとう)」ってなんだ?の記事は、コチラをご覧ください。
壺屋では沖縄の古民家をいくつか見ることもできます。屋根瓦の上には、チブル(頭)シーサーが鎮座。これも焼物の里であった壺屋だからこそ見れる風景かもしれません。しかもこのチブルシーサーは一体だけ。よく見る対になったシーサーは近年に作られた物だとか。
家を守るシーサーと猫。壺屋を散歩してると必ず多くの猫に出会えるくらい猫スポット多し。賑やかな国際通りの裏側には、時間が止まったような昔ながらの空間があるのも沖縄らしさですね。
りっぱなシーサーも散歩しながらたくさん見つけることができます。シーサーの額の「王」の文字も気になりますね。壺屋ではやちむん体験をやっている工房があるので、一日かけての壺屋観光も楽しそうです。
琉球王府時代から唯一のこる陶工の住宅で昭和49年まで陶業を営んでいました。沖縄戦の戦火を免れた400坪の屋敷は石菖(せきしょう)が巡らされ、主屋を中心に作業場、離れ、上焼窯の登窯(東ぬ窯)、沈殿池があり壺屋の歴史を知る上で大変貴重な建築物です。
赤瓦とシーサーとの外観は沖縄独特として写真撮影のスポットとしても人気な場所です。
やちむん通りの道反対を歩くと壺屋集落の始まりを知る事ができます。
壺屋のやちむん住宅「新垣家住宅」一般公開!!の記事はコチラです。
壺屋の土地や集落を守るタチクチ(村建て)の神様を祀っています。壺屋のすべての行事がここに始まりここに終わると言われ、壺屋の人たちとってとても大切な場所なのです。現在では旧暦で1月、3月、6月、8月、9月、12月に婦人会が中心となって管理し、壺屋の9カ所の拝所をまわり、壺屋の安全や発展を拝みます。
壺屋の東(アガリ)にある井戸でアガリヌカーと呼ばれています。井戸の横には御嶽のように香炉が置かれ拝む場所でもありました。
沖縄方言で“○○ガー”は井戸、“村ガー”は共同井戸を指します。壺屋は水が豊富な場所でもあり焼物を作るには最適な場所でした。沖縄には大きな川がなく、天気に左右される事も多く降水も不安定な島だった為、水は生命の源と考えられていました。
どの拝所も、ガジュマルが雨水を集め、そこに溜まる井戸ができる。自然とその場所を中心に集落が出来てきます。ですから、井泉(せいせん)がある場所は神聖な場所として拝所となっていて、現在も大切にされています。
文字通り一番下にある拝所。上から飲料水、陶器を作る水となって、一番下では水浴びや、陶工が汚れた体を洗う場所として使われていました。
いかがでしたか?見逃しそうな場所もガイドの説明で一緒に歩くと、昔から続く沖縄の人の文化・習慣・生活が見えてきます。沖縄の人でも忘れかけていた、先祖代々受け継いできたうちな〜の心に触れられる楽しいツアーでした。高野さんは壺屋以外でもガイドツアーを企画しているので、気になる場所がありましたらお問い合わせください。
沖縄各地を取材した豊富な知識と経験を生かし、ガイド&イラストレーターとして各地の観光協会や雑誌、新聞等で活躍。
ガイドブックには載っていない沖縄を紹介しています。
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問い合わせ先:070-5691-3792 (沖縄REPEATで見たとお伝えください)
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